おけいどんの適温生活と投資日記(FIRE生活、世界30ヵ国の増配株、ETF、リート投資)

アーリーリタイア ブロガー 桶井 道/おけいどんがFIRE生活と投資、介護(父は要介護5、母はがんサバイバー)について綴ります。投資歴25年、日米など30ヵ国の増配株、ETF、リート。【メディア掲載/コラム連載】多数、プロフィールに記載。【著書】 3冊(FIRE本、米国ETF投資本、新NISA活用本、Amazonにて桶井 道で検索して下さい)【仕事依頼について】問い合わせフォーム(「カテゴリー検索」から探せます)からお願いします

●厚生年金は結構頼りになる

こんにちは、okeydon(おけいどん)です。


年金返せ!という声があるようですが、年金は果たしてそこまで酷い制度なのでしょうか?厚生年金で分析してみたいと思います。
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まず初めに、そもそも、厚生年金の財源は、どこから来ているのでしょうか。

それは、自分で支払った厚生年金保険料だけではありません。

月々の厚生年金保険料の他に、国庫負担、つまり税金も投入されていますし、運用収入等も財源となっています。そして、その月々の厚生年金保険料は、本人負担の同額を会社が負担してくれているのを忘れてはなりません。例えば、自分が2万円負担しているなら、会社も同額2万円負担してくれている訳です。


厚生年金の財源=本人負担の厚生年金保険料+会社負担の厚生年金保険料+国庫負担(税金)+積立金(元本の取崩し及び運用収入)


具体的には、厚生労働省の資料がよく分かります。

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(厚生労働省ホームページより資料引用)



こうして財源から見ると、結構いい制度だと思いませんか?自分が負担している以上の資金がたくさん入れられている訳ですから。



次に、支払った保険料と支給額の面、つまり損益分岐点から見て見ましょう。

ダイヤモンド オンラインにて、年金の損益分岐点を試算した記事があります。
president.jp


この記事によりますと、

現時点で60歳以上の人で、

独身会社員の場合・・・

元が取れる年数は約8年3カ月で、73歳まで生きて受け取ればクリアできる。

既婚会社員の場合・・・

元が取れる年数は約7年5カ月とさらに短縮され、72歳まで生きて受け取れば元が取れる。専業主婦の妻の年金も併せて受け取れることも大きいだろう。

ということで、現段階においては、なんの問題もありませんね。


では、先々はどうでしょうか?

この記事では、30年後には厚生年金の給付額(月額)が、現役時代の手取り収入の50.6%とあり、現在のそれは59.7%とあります。つまり、30年後には現役時代の手取り収入が20万円であれば、年金額は10万1200円という計算になります。これが現在なら、11万9400円というわけです。


そこから、単純に計算すると、年金支給額は、30年後には現在の85%程度になるとの試算が成り立ちます。


それをもとに、試算していきますと、

30年後には、

独身会社員の場合・・・
元が取れる年数は約9年9ヶ月、74歳です。
(8年3ヶ月÷85%=9年9ヶ月)

既婚会社員の場合・・・
元が取れる年数は約8年9ヶ月、73歳です。
(7年5ヶ月÷85%=8年9ヶ月)


という試算結果になります。大丈夫そうですね。


厚生年金は生涯にわたり支給が保証されており、どれだけ長生きしようと生涯保証されているのは大きいです。


こうして、損益分岐点から見ても、厚生年金はいい制度ではないでしょうか。



では、年金返せ!と言って、本当に返された場合、どうなるのでしょうか?人生100年時代ですから、65歳から100歳まで35年間分を、自分でどれだけ準備する必要が生じるのでしょうか?


騒動になった金融庁の例の資料によりますと、年金支給額の平均は月額191,880円とあります。

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(金融庁 発表「高齢社会における資産形成・管理」より資料引用)


月191,880円×12ヶ月×35年=80,589,600円

約8,060万円です。


国民一人当たりが生涯に負担する厚生年金保険料は、各種報道によりますと1,830万円とされます。定年まで夫婦共働きとして、生涯に負担する厚生年金保険料は3,660万円となります。この額を夫婦で生涯に納める厚生年金保険料の平均とするのは乱暴ですが、平均額を示した資料が見つからず、楽観的な資産になりますがご容赦ください。

仮に、自ら納めた年金保険料を3,660万円返されたら、自分でそれを運用して8,060万円まで増やす必要があります。本当に年金以上の運用が自分でできるのでしょうか?


繰り返しになりますが、厚生年金の財源は、厚生年金保険料 本人負担、厚生年金保険料 会社負担、国庫負担(税金)、運用収入等から成り立っています。厚生年金保険料 本人負担の資金だけ返して貰って、会社負担も国庫負担(税金)も賄って、かつ年金機構以上の運用収入を得る、これは至難の業だと思います。


最後に、これは老齢年金だけの話です。ここばかりが注目されていますが、厚生年金には、65歳以降に支給される この老齢年金だけではなく、遺族年金や障害年金も制度としてあります。

遺族年金とは、被保険者が死亡した場合に残された遺族に対して支給される年金です。障害年金とは、病気や怪我で労働できなくなった場合に若年層でも支給される年金です。セーフティネットとして大きな役割を果たしていると言えます。
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こうして厚生年金を見つめ直してみますと、結構頼りになる制度です。
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補足になりますが、この年金月額191,880円は平均支給額で、これより多い世帯があれば、少ない世帯もあります。また、月々の生活費は地域により世帯により変わってきます。従いまして、年金だけで足りる世帯もあれば、不足する世帯もあるでしょう。ただし、病気や怪我、要介護など もしもを考えると、さらには豊かな老後を送るためには、やはり年金以外に資産があった方がいいことは言うまでもありません。それが、2千万円になるのか、または3千万円になるのか、それ以上が必要なのかは、各々で人生設計や資金計画と向き合って考える必要があるでしょう。
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