おけいどんの適温生活と投資日記(セミリタイア、世界高配当株収集家)

おけいどん(桶井 道)がセミリタイア適温生活と投資について綴ります。現在は時短社員、2020年12月末にアーリーリタイア予定。投資(分散投資という名のもと世界の株を収集)、節約、節税、銀行との付き合い、親孝行、ホテル、スイーツ、サンカーなど。メディア掲載:ダイヤモンドZAi2020年10月号、日経マネー2020年1月号、日経新聞電子版2020年5/4号・5/6号・9/1号。

●携帯電話料金が高くないと思う理由、諸外国と比較&他の公益企業と比較 格安携帯という選択肢

こんにちは、okeydon(おけいどん)です。



通信株に大逆風が吹いています。菅ショックです。通信株の株主としてはインパクトのある出来事です。

この記事では、携帯電話料金について、さまざまな角度から考察します。


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◆政権の方針

菅総理は、9月17日に改めて、携帯電話料金の値下げについて語りました。

「国民の財産の電波の提供を受け、携帯電話の大手3社が9割の寡占状態を長年にわたり維持して、世界でも高い料金で、20パーセントもの営業利益を上げ続けている事実」と。

それを受け、武田総務大臣も次のように語りました。

「もはや今、携帯電話は贅沢品ではなく、国民の命に関わる、大変重要な通信手段となっている。ほとんどの国民、全てと言ってもいいくらいの方々が使用する時代において、国民が納得する料金なのかどうか。国際的に見て、日本の料金体系はどうなのか。これは見直す必要があると私は思っている。」と。

菅政権の本気度が窺えます。要約すると、「国民の財産とも言える電波で、営業利益率20%も稼ぐのはけしからん!」ということですね。


◆主要3社の営業利益率

ここで、通信大手各社の営業利益率を見てみましょう。本当に営業利益率は20%あるのでしょうか?


NTTドコモ
セグメント 2018年度/2019年度
企業全体 20.9% / 18.4%
通信に限る 21.8% / 19.2%

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KDDI
セグメント 2018年度/2019年度
企業全体 20.0% / 19.6%
通信に限る 非公表

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ソフトバンク
セグメント 2018年度/2019年度
企業全体 17.8% / 19.2%
通信に限る 非公表

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こういうご時世ですから、通信各社には、モバイル通信セグメントだけの決算状況を開示して頂きたいものです。

企業全体からすれば、菅総理が言われる通り営業利益率は20%と見れます。NTTドコモに限ってはモバイル通信だけでも、営業利益率は20%程度です。


◆海外の通信企業の営業利益率

では、海外の通信企業の営業利益率を確認してみましょう。

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社名(国名) 2018年度/2019年度
ベライゾン(米国) 18.1% / 20.2%
AT&T(米国) 15.8% / 15.4%
Tモバイル(米国) 12.3% / 12.7%
BCE(カナダ) 22.0% / 22.8%

AT&T(携帯電話事業のみ) 30.6% / 31.4%

BCE(携帯電話事業のみ) 39.9% / 42.0%
ヴォーダフォン(英国事業のみ) 21.7% / 23.1%
ヴォーダフォン(ドイツ事業のみ) 39.3% / 42.0%
※BCE(携帯電話事業のみ)およびヴォーダフォンは、調整後EBITDA利益率、つまり、(営業利益+減価償却費及び償却費±その他の調整項目)÷売上高


各社の営業利益率のデータは、Tモバイルを除いて、日本の携帯電話会社と大きくは変わりません。

セグメント別にデータが取れたAT&Tは、携帯電話事業の営業利益率が30%超と、必ずしも日本の携帯電話会社が儲けすぎとも言い切れません。


◆海外と日本の携帯電話料金と通信品質を比較

次に、料金と品質を3つの項目で比較してみます。

①携帯電話料金の比較

携帯電話料金を比較しましょう。スマホのみで比較します。

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※ 2020年3月1日現在のデータ
※携帯電話料金は、各国の調査対象事業者の月額平均料金。一定期間を対象とする割引がある場合には、24ヶ月に平準化した数値。金額は「税込」を「購買力平価換算」で円通貨に換算した。
※調査対象企業は、日本がNTTドコモKDDIソフトバンクアメリカがVerizon、AT&TT-mobile、Sprint、イギリスがO2、EE、Vodafone、3、フランスがOrange、Sosh、SFR、RED、Free、Bouygues、ドイツがO2、Blau、Vodafone、Otelo、Telekom、韓国がSKT、KT、LGU+です。
(出典:ICT総研)


ICT総研の研究結果から、6ヶ国のスマホ料金を月額料金の平均(各国シェア上位3事業者の平均)で比較してみましょう。データ容量2GBの場合で平均は3,817円、5GBの場合で4,381円、20GBの場合で5,722円です。

国別、データ容量別に比較しましょう。
[単位:円]
国名 2GB / 5GB / 20GB
平均 3817 / 4381 / 5722
日本 4021 / 5121 / 7135
米国 6188 / 6749 / 7684
英国 2300 / 2450 / 3001
仏国 2010 / 2010 / 2322
独国 3077 / 3170 / 5801
韓国 5308 / 6787 / 8388

こうして比較すると、ヨーロッパが安いです。韓国や米国は高いですね。日本はヨーロッパよりは高く、韓国や米国よりは安く、中くらい、平均的と言ったところでしょう。価格だけ見れば、高いとは言い切れないと思います。


②通信品質

価格だけでは、比較できませんから、通信品質を比較します。先ほどの同じくICT総研の研究結果に、4G接続率とダウンロード通信速度を検証したデータがあります。


a)4G接続率

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(出典:ICT総研)

6ヶ国の4G接続率を比較しますと、接続率の高い順に、日本98.5%、韓国98.3%、米国96.1%、英国89.2%、仏国86.0%、独国85.8%となります。日本の接続率は最も高いという結果です。


b)ダウンロード通信速度

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(出典:ICT総研)

6ヶ国のダウンロード通信速度を比較しますと、速度の速い順に、韓国59.0Mbps、日本49.3Mbps、独国28.7Mbps、仏国28.6Mbps、米国26.7Mbps、英国22.9Mbpsとなります。日本のダウンロード通信速度は、2番目に速いという結果です。それも3位以下とかなりの差があり、米国や英国の2倍ほどの速度があります。


①および②の結果から、日本の携帯電話は、料金が中くらいであるのに対し、4G接続率はトップ、ダウンロード通信速度は2位であることが分かります。従いまして、日本の携帯電話料金は、費用対効果が高いと言えるでしょう。


この結果を見て、日本の通信各社は、諸外国に比べて、そんなに儲けていると言えるでしょうか?

ただし、ここでは、政府に支払う電波使用料の有無や価格を考慮に入れていません。購買力平価換算で円通貨に換算しており、物価の差は考慮に入っています。いろんな要素が複雑に絡み合うため、一概に比較できない難しさがあることも確かです。




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電波利用料

総務省が公表する「主な無線局免許人の電波利用料負担額(2019年度)」にて、携帯主要3社と主要テレビ局が支払う電波利用料を確認しました。

携帯主要3社から。NTTドコモ約184億円、KDDI約115億円、ソフトバンクは約150億円となっています。

次に主要テレビ局を。最も多く支払うNHKでさえ約25億円です。日本テレビ約6.6億円、TBS約6.4億円、フジテレビ約6.3億円、テレビ朝日約6.4億円、テレビ東京約6.3億円です。支払額だけで比較すると、携帯主要3社に比べて主要テレビ局は負担額が2桁も少ないですが、売上規模や利益規模から比較せねばフェアではありません。

そこで、売上高規模や利益規模を勘案して、かつ電波を使う事業に絞って比較しましょう。セグメント別データのある企業で比較します。

NTTドコモ、通信事業の売上高は3兆6870億円、営業利益は7065億円です。それに対して、電波利用料は約184億円ですから、売上高の0.5%、利益の2.6%の割合です。

日本テレビ、メディア事業の売上高は3817億円、営業利益は461億円です。それに対して、電波利用料は約6.6億円ですから、売上高の0.17%、利益の1.4%の割合です。

こうして比較すると、携帯主要3社は、充分な電波利用料を支払っていると言えます。携帯電話に対する電波利用料を値上げすると言及する前に、テレビ局から相応に徴収することが先でしょう。こういう論法に傾くと、財源の話になりそうですので、この辺りにします。


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◆公益企業の営業利益率

ここで、少し目先を変えて、通信以外の日本の公益企業に目を向けてみましょう。公益企業といえば、電気、ガス、鉄道、航空、放送です。それら企業の営業利益率を調べてみました。


社名 2018年度/2019年度
関西電力(電気事業のみ) 5.1% / 4.9%
東京ガス(ガス事業のみ) 6.5% / 7.6%
大阪ガス(ガス事業のみ) 4.4% / 3.5%
JR東日本(運輸事業のみ) 16.1% / 12.0%
JR東海(運輸事業のみ) 45.5% / 43.2%
東急電鉄(運輸事業のみ) 13.6% / 12.6%
日本航空(運輸事業のみ) 12.0% / 6.7%
フジテレビ(メディア事業のみ) 3.2% / 2.7%
日本テレビ(メディア事業のみ) 12.1% / 10.6%

こうして見ると、確かに、公益企業の営業利益率はおおむね低いですね。ここから見ると、通信企業は儲けすぎということになるのは分からなくはないです。

しかしながら、JR東海の利益率は突出しています。これは新幹線事業が儲かるからです。この利益はリニア新幹線の整備に充てられる側面があり、目こぼしされているのでしょう。


では、通信企業はどうか?5Gへの設備投資が必要です。その原資となるのが、もちろん携帯電話事業で儲けた利益です。それを鑑みると、あまりに、儲けすぎ!携帯電話料金を安くしろ!というと、充分な設備投資が出来なくなり、返って国民に不利益とならないか、また国際的な5Gの流れに乗り遅れないか心配です。




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◆格安携帯、用意されている多くの選択肢

最後に、格安携帯に触れます。主要3社で90%のシェアを占めるとはいえ、日本には格安携帯会社が多くあります。主要3社のシェアが高いのは、多くの国民が格安携帯を選択しない結果に過ぎないと思います。選択肢は用意されているのに、選択しないだけの話だと思うんです。多くの国民が格安携帯を選択すれば、自ずと携帯電話料金の平均値は下がります。

余談になってはしまいますが、テレビを保有していると加入、他には選択肢のないNHKに、先にメスを入れて欲しい気もします。


◆まとめ

菅政権には、「営業利益率20%がけしからん!」ではなく、海外携帯電話会社の営業利益率との比較、携帯電話の料金水準と通信品質の両者からの比較(日本は高品質であることを勘案すると料金が高いとは言い切れない)、携帯電話会社とテレビ局の電波利用料のバランス、他の公益企業の営業利益率との比較、5G設備投資の原資確保、格安携帯の存在など、それらを総合的に鑑みて、適正な回答を導き出して頂きたいと思います。あまりの値下げ圧力が先行すると、選挙対策かと勘ぐりたくなります。


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今日も何事にも適温でまいりましょう。



関連記事です。
菅ショックで下げた通信株の行方を分析
okeydon.hatenablog.com




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