おけいどんの適温生活と投資日記(FIRE生活、世界30ヵ国の増配株、ETF、リート投資)

アーリーリタイア ブロガー 桶井 道/おけいどんがFIRE生活と投資、介護(父は要介護5、母はがんサバイバー)について綴ります。投資歴25年、日米など30ヵ国の増配株、ETF、リート。【メディア掲載/コラム連載】多数、プロフィールに記載。【著書】 3冊(FIRE本、米国ETF投資本、新NISA活用本、Amazonにて桶井 道で検索して下さい)【仕事依頼について】問い合わせフォーム(「カテゴリー検索」から探せます)からお願いします

●カナダ通信最大手BCEは高配当&増配銘柄

こんにちは、okeydon(おけいどん)です。


カナダ通信最大手BCE(ティッカー:BCE)は、高配当であり、増配もしている銘柄です。高配当株投資をする投資家として、ポートフォリオ上位でbuy & holdしています。僕okeydonは、ドコモ売却後の資金の一部で追加投資もしました。


この記事では、BCEの分析をお届けします。


ⓘスポンサードリンク





◆BCEとは

f:id:okeydon:20190827143315j:plain


BCEは、カナダのケベック州に本社を置く、カナダ通信最大手企業の持ち株会社です。会社設立は1983年です。カナダのトロント証券取引所とNY証券取引所の両方に上場しています。

時価総額は、41,492百万米ドルです。


持ち株会社ではなく、事業会社ベルカナダ(Bell Telephone Company of Canada Ltd.)としては、設立は1880年まで遡ります。歴史ある企業です。

BCE(持ち株会社)は、3つの主要なセグメントとしてベルワイヤレス、ベルワイヤライン、ベルメディアを持ちます。全国的に、固定通信、移動体通信、衛星通信、インターネット等の通信事業を総合的に展開しています。従業員数は50,704人(2020年末現在)です。

f:id:okeydon:20190827144011p:plain


2010年には、カナダ最大の商業放送事業者 CTV を買収し、傘下のBell TVと統合して、2015年にはカナダ最大のテレビサービス・プロバイダーとなりました。

2016年より、ノキア(フィンランドの携帯電話基地局の製造企業)と共同でカナダ初となる5G事業の準備を進めています。

2017年には、マニトバ・テレコム・サービシズを買収し、売上高及び利益とも上昇しています。

事業の多角化により、顧客数は堅調に増加しています。

株主還元に積極的で、2021年で13年連続増配となります。その原資を確保するために、キャッシュフローを増やすべく、多くの買収を行ないました。

f:id:okeydon:20190827144049p:plain
(単位:カナダドル。以降、文中で特に注釈を入れていない箇所の単位はカナダドルです。)



ⓘスポンサードリンク




◆株価推移

[単位:米ドル]
※NY証券取引所の株価

始値
2008年 39.82
2009年 20.55
2010年 28.09
2011年 35.67
2012年 42.46
2013年 43.59
2014年 43.34
2015年 45.69
2016年 38.09
2017年 43.23
2018年 48.04
2019年 39.27
2020年 45.92
2021年 43.00
2021年3月29日 45.87ドル


10年チャート
f:id:okeydon:20210402152415j:plain
(チャート引用:BCEサイトより。以下同様。)


2年チャート
f:id:okeydon:20210402152441j:plain


株価は、2012年以降では、概ね40〜48米ドルのボックス圏で動いています。2019年10月に上値を切り上げるか試される展開になりましたが、同業他社ロジャースの決算が悪かったことに釣られて株価は調整しました。そして、コロナショックがあり、40ドルを割り込む場面もありましたが、今は再びボックス圏内で推移しています。


◆業績

(売上高および純利益)[単位:百万ドル]

決算期 / 売上高 / 純利益
2008年 / 17,661 / 819
2009年 / 17,735 / 1,631
2010年 / 18,069 / 2,165
2011年 / 19,497 / 2,221
2012年 / 19,975 / 3,053
2013年 / 20,400 / 2,388
2014年 / 21,402 / 2,718
2015年 / 21,514 / 2,730
2016年 / 21,719 / 3,087
2017年 / 22,719 / 2,970
2018年 / 23,468 / 2,973
2019年 / 23,964 / 3,253
2020年 / 22,883 / 2,634
2021年 / 23,614
2022年 / 24,218
※2021年、2022年はアナリスト予想



コロナ禍を除いて、売上は順調に伸びています。利益はきれいに右肩上がりではありませんが、長期的に見ると成長しています。


◆事業別業績

・事業別売上シェア(2019年、2020年実績)
f:id:okeydon:20210402153342j:plain
(資料引用:BCEサイトより)


・事業別売上成長率(2017年、2018年、2019年、2020年実績)
ベルワイヤレス
f:id:okeydon:20190827144308j:plain

f:id:okeydon:20190827144327j:plain

f:id:okeydon:20201017161231p:plain

f:id:okeydon:20210402152848j:plain


ベルワイヤライン
f:id:okeydon:20190827144348j:plain

f:id:okeydon:20190827144404j:plain

f:id:okeydon:20201017161249j:plain

f:id:okeydon:20210402152913j:plain


ベルメディア
f:id:okeydon:20190827144425j:plain

f:id:okeydon:20190827144441j:plain

f:id:okeydon:20201017161306j:plain

f:id:okeydon:20210402152937j:plain

コロナ禍はあまり参考になりませんので、2019年までで見ましょう。ベルワイヤラインが売上の過半を占めていますが、2019年までの4年間の売上成長率はベルワイヤレスが一番伸びています。5G時代に突入して、これはより顕著になるでしょう。



・事業別利益シェア(2019年、2020年実績)
f:id:okeydon:20201017162103j:plain

f:id:okeydon:20210402160054j:plain


・事業別利益

次の資料のsegment profitにご注目ください。事業別利益になります。

2017年
f:id:okeydon:20201017161631p:plain


2018年
f:id:okeydon:20201017161731p:plain


2019年
f:id:okeydon:20201017161751p:plain


2020年
f:id:okeydon:20210402155550j:plain



・利益前年比[単位:%]
決算期 / ワイヤレス / ワイヤライン / メディア
2017年 / 109.1 / 102.9 / 96.4
2018年 / 107.5 / 102.6 / 96.8
2019年 / 109.1 / 101.7 / 122.7
2020年 / 95.4 / 96.9 / 81.8

2020年はコロナ禍で検証しても参考になりませんので、2019年までで見ますと、やはりワイヤレスの伸び率が目立ちます。



・携帯電話、インターネット、テレビジョンの契約者数(2019年、2020年実績)
f:id:okeydon:20201017174101j:plain
2019年は3事業ともに、対前年で伸びが見られます。

f:id:okeydon:20210402160529j:plain
2020年はテレビとローカル電話回線が不調に終わりましたが、ワイヤレスとハイスピードインターネットが伸び、全体では増加しています。この辺りは、通信サービスというインフラ産業としての強さを感じます。



ⓘスポンサードリンク




キャッシュフロー

決算期/営業CF/投資CF/フリーCF[単位:百万ドル]
2008年 / 5,909 / -2,986 / 1,689
2009年 / 4,884 / -2,854 / 1,456
2010年 / 4,724 / -2,959 / 1,374
2011年 / 4,869 / -3,256 / 1,511
2012年 / 5,552 / -3,515 / 1,670
2013年 / 6,476 / -3,571 / 2,571
2014年 / 6,241 / -3,717 / 2,744
2015年 / 6,274 / -3,626 / 2,999
2016年 / 6,643 / -3,771 / 3,226
2017年 / 7,358 / -4,034 / 3,418
2018年 / 7,384 / -3,971 / 3,567
2019年 / 7,958 / -3,998 / 3818
2020年 / 7,754 / -3,540 / 3,466


2020年のコロナ禍でもそれなりのキャッシュフローを確保しています。2019年まではフリーキャッシュフローがきれいに増加しています。


f:id:okeydon:20190827143447j:plain

◆1株利益、配当金、増配率

決算期/1株利益/配当金[単位:ドル]
2008年 / 2.25 / 0.73
2009年 / 2.50 / 1.58
2010年 / 2.84 / 1.785
2011年 / 3.13 / 2.045
2012年 / 3.18 / 2.22
2013年 / 2.99 / 2.33
2014年 / 3.18 / 2.47
2015年 / 3.36 / 2.60
2016年 / 3.46 / 2.73
2017年 / 3.39 / 2.87
2018年 / 3.51 / 3.02
2019年 / 3.50 / 3.17
2020年 / 3.02 / 3.33
2021年 / ---- / 3.52
※1株利益は調整後。
※2021年は予想額。

2008年のリーマンショックで減配しましたが、その翌年から2021年まで、13年連続増配です。2021年Q1の配当金は0.88ドル(0.88ドル×4回配当=3.52ドルの予想)です。



・1株あたり年間配当履歴
f:id:okeydon:20190827144049p:plain
(資料引用:BCEサイトより)


・配当方針
f:id:okeydon:20210402161106j:plain
(資料引用:BCEサイトより)


株主還元に熱心で、この13年間は毎年増配しています。2008年以来13年間で、配当金は4.8倍です。リーマンショック前の2007年の配当金1.46ドルから見ても、2.4倍です。

配当方針は、フリーキャッシュフローの65%から75%範囲内を維持し、戦略的な事業の優先順位のバランスを取りながら、配当の成長を達成すること、これを基本としています。

2020年の配当は、新型コロナの影響で目標政策範囲を上回っています。2021年も同様に目標政策範囲を上回ることを予想するとしています。


f:id:okeydon:20190827144838j:plain


◆予想配当利回り、外国課税

予想配当利回り:6.1%
(2021年3月29日現在)

高配当株です。増配もしっかりており、長く持つことで投資元本に対する利回りはより上がっていくことでしょう。

配当金に掛かる外国課税は15%とアメリカ(10%)より5%高くなりますが、許容範囲でしょう。




ⓘスポンサードリンク




◆各種指標

実績ROE:13.34%
予想ROE:14.61%
予想PER:14.61倍
実績PBR:3.06倍
自己資本比率:34.81%
(予想値は、2021年3月29日現在)
(実績値および自己資本比率は、2020年12月期)


◆リスク

携帯電話料金の競争が激しくなるリスクがあります。大手通信各社が、携帯電話の「無制限データプラン」を導入しました。利用者は、これまでデータが上限を超えると超過料金を支払っていましたが、通信速度が遅くなるかわりに超過料金が必要なくなりました。これは通信各社にとり収益源を失うことを意味します。実際に、通信大手ロジャースは、2019年10月23日に発表した決算で、この影響が大きく、業績を下方修正した経緯があります。これは過去の記事で紹介した通りです。


okeydon.hatenablog.com


では、BCEへの影響はどうか?2019年10月31日の決算発表を確認しましょう。

f:id:okeydon:20191109164826p:plain
(引用:BCEサイトより)

売上高、純利益、EPS、フリーキャッシュフローの全てが前年比で伸びています。

全社的には問題ないことが分かりました。次に、ワイヤレス事業について、深掘りしていきます。

ワイヤレス事業の利益は、第3四半期に3.5%増加しています。これは、加入者が継続的に増えていることによります。また、「無制限データプラン」導入による超過料金の収益が取れなくなった影響以上に収益が伸びたということです。

従いまして、「無制限データプラン」導入によるBCE決算への影響は、2019年秋の時点ではなかったということです。これはワイヤレス事業だけにおいても、影響がないというのが投資にあたり安心材料になると思います。


過去に、アメリカで、「無制限データプラン」の導入を発端に、通信大手各社の業績が悪化して株価が急落し、立ち直るのに1年を要した経緯があります。BCEに限らずカナダの通信各社への投資にあたり、「無制限データプラン」による影響については、今後も注視する必要があるでしょう。


その後は、新型コロナウィルスの影響度合いが大きく、BCEの決算レポートにも、そちらの記述ばかりになっています。2021年も影響があるとしています。


◆新型コロナウィルスの影響

新型コロナパンデミックに対抗するために2020年3月にカナダで実施された緊急措置は、商業活動を大幅に混乱させました。

2020年を通じてBCEの財務および経営成績に悪影響を及ぼしました。 これは、ベルワイヤレス、ベルワイヤライン、ベルメディアの3つのセグメントすべてに悪影響を及ぼし、ベルワイヤレスおよびベルメディアセグメントにはより顕著な影響を及ぼしました。

最も重大な影響は、2020年の第2四半期に発生しました。第2四半期の後半に特定の緊急措置が徐々に緩和されたことで、多くの企業がある程度の商業活動を再開または増加させ、結果として第3四半期には、BCEの事業および財務実績が著しく順次改善しました。

しかしながら、9月下旬以降、新型コロナ症例数の復活により、政府による規制が徐々に強化され、12月下旬に厳しくなり、すべての重要でない事業が閉鎖され、封鎖措置が再導入されました。これにより、消費者の活動が減少しました。


具体的には次のような影響がありました。
※一部抜粋

・事業の一時的な閉鎖およびスポーツイベントのキャンセルまたは延期による顧客のキャンセルにより、ベルメディアセグメントからの広告収入が減少しました。

・市場活動の減少、販促オファーの減少、小売流通チャネルの一時的な閉鎖により、ワイヤレス製品の売上が減少しました。

・主に2020年4月の旅行者の減少とローミング料金の免除によって、ベルワイヤレスセグメントのサービス収益が減少しました。

・主にベルワイヤラインセグメントでの新型コロナ関連費用の増加。これには、従業員の再配置、寄付の増加、個人用保護具の購入、建物の清掃と備品の増分が含まれます。

・BCEは、新型コロナが事業および財務成績に、今後も重大かつ悪影響を受ける可能性があるとしています。



◆まとめ

BCEがアナウンスしている通り、2021年も新型コロナウィルスの影響は否定できません。しかしながら、通信サービスはインフラ産業ですので不況に強いです。この先は5Gが通信インフラとしてあらゆるシーンで活用されます。フリーキャッシュフローは右肩上がりですし、コロナ禍の2020年も含め、この13年間は毎年増配していることからも、この先も長期目線で増配が維持されることが期待できます。高配当銘柄 長期投資 配当金再投資にはうってつけの投資先です。株価成長は期待できませんが、40〜48米ドル(NY証券取引所)のボックス圏で動いていますので、その動きを鑑みながら投資のタイミングをはかればいいと思われます。


f:id:okeydon:20190827144904j:plain



投資判断は自己責任にてお願い致します。



今日も何事にも適温でまいりましょう。




ⓘスポンサードリンク





【4/19発売、米国会社四季報2021年春夏号】

米国企業を、投資家のバイブル『会社四季報』スタイルで、見やすくわかりやすく。業績・財務情報はもちろん、連続増配やクラウドといった投資テーマ、ブランド名、トップの年収、ライバル企業など情報満載。

Amazon

楽天

週刊 東洋経済増刊 米国会社四季報2021春夏号 2021年 4/28号 [雑誌]

価格:3,300円
(2021/4/8 13:16時点)
感想(0件)


マクロミル
隙間時間にアンケートに答えるなどして副収入を得ませんか?僕okeydonは、2020年44,000円稼ぎました。始めてすぐに2000円になったとのお声を多数ちょうだいしています。マクロミルなら東証1部上場企業なので安心!
↓↓↓




アンケートモニター登録


ブログ村に参加しています。宜しければ応援クリックをお願い致します。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ
にほんブログ村

にほんブログ村 投資ブログ 資産運用(投資)へ
にほんブログ村