こんにちは、okeydon(おけいどん)です。
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今日は、久しぶりに投資家らしく、銘柄分析の記事をアップしたいと思います。
この記事では、米国フィンテック企業のファイサーブ(ティッカーコード:FISV)をご紹介します。
ファイサーブは、僕okeydonが2020年1月に投資した銘柄です。
金融ITサービスを全般的に提供しており、アメリカに数多くあるフィンテック企業のなかでも古株です。EPS成長が、2020年まで35年連続2桁成長という好業績です。株価は2019年までは綺麗に右肩上がりです。ところが、2020年はコロナ禍で試練の年になり、株価が下落しました。ここへ来て、ようやく反転が見られます。
◆ファイサーブとは
社名:Fiserv, Inc.(ファイサーブ)
設立:1984年
上場市場:NASDAQ
上場年:1986年
ティッカーコード:FISV
時価総額:811億9900万ドル
※2021年3月23日現在
決算月:12月
概略:企業名の由来は、ファイナンシャル・サービス(Financial Service)にあり、それを短縮して社名としています。
事業内容は、(1)クレジットカード決済、電子決済サービス、ネットバンキングシステムなどを提供するペイメント部門、(2)金融機関向けのソフトウェア、システム構築、コンサルティングなどを行なうフィナンシャル部門、(3)買収したファーストデータ社の子会社であるクローバー社を通じて小売業者にPOSを提供する小売事業決済部門、それら3つで構成され、金融ITサービスを全般的に展開しています。
銀行などに会計処理等の金融サービスを提供しており、金融業界を中心に1.2万以上の顧客を有します。米国銀行におけるシェアの1/3を同社がおさえており寡占化しています。銀行は店舗数が減ってはいますが、オンラインバンクの普及により銀行口座数は増加傾向にあります。また、新興国には銀行口座を持たない人が多く、今後の普及余地があります。よって、それらからの手数料収入の伸びが期待できます。
銀行などの金融機関が、他社に資金を移動するときに、ファイサーブのテクノロジーを経由しています。それにより、手数料を貰うビジネスということになります。金利の影響も、与信リスクもありません。ただし、景気が悪くなるとお金の流れも比例しますので、景気の影響は受けます。
直近では、小売事業決済部門の伸びが決算を支えています。同社から、この成長によって、EPSが前年比で少なくとも11%も伸びる予想が出されています。
そして、アメリカでは、キャッシュレス化が強烈に進んでいます。これも、ファイサーブにとって、成長エンジンになり得ます。寡占化×市場拡大=企業成長は容易に想像がつきますね。これはペイメント部門の手数料収入が伸びるだけではなく、銀行のシステム開発を手がけるファイナンシャル部門の売上、利益も伸ばすことも期待できます。
◆安定した収益基盤
主な顧客は金融機関であり、売上高の約85%が複数年契約(3~5年契約)です。なおかつ、更新契約による手数料収入が大きく、安定した収益基盤となっています。
◆企業買収による事業拡大
企業買収により、事業ポートフォリオを拡大してきました。
・2007年 Check Free社買収
この買収により、電子請求書支払いやインターネットバンキングを含む金融電子商取引サービスおよび製品のリーダーを手に入れました。
・2011年 Cash Edge社買収
この買収により、個人間(P2P)決済の送金サービスを強化して、デジタル決済の推進をはかりました。
・2013年 Open Solutions社買収
この買収により、リアルタイム口座処理プラットフォームを事業ポートフォリオに追加。DNAと呼ばれるシステムは、卓越した柔軟性と使いやすさを提供するために、最新のテクノロジーに基づいて構築されています。世界中のあらゆる規模または種類の金融機関のニーズに応えることができます。
・2019年 First Data社買収
直近では、2019年7月に、ファーストデータ社を買収し、事業ポートフォリオがさらに拡大しました。クレジットカード決済や企業間決済にも参入しました。
この買収により、利益率が高まる見込みです。2021年は8億ドルのコスト削減が、長期では12億ドルのコスト削減と5億ドルの収益のシナジー効果、2022年までに40億ドルのフリーキャッシュフローの創出が予想されています。
◆驚異的なEPS成長
EPS成長は、実に、2020年まで35年連続で2桁成長と、驚異的な成長実績があります。これは利益成長だけではなく、強烈な自社株買いも大きく貢献しています。さらには、上述の通り、2021年も小売事業決済部門の躍進により2桁成長は維持される見込みです。
◆ブログ「アメリカ部」さんの分析
「アメリカ部」さんが大変分かりやすく纏められています。
◆リスク
フィンテック他社が革命的な技術革新を起こせばシェアを奪われるリスクが全くないとは言い切れません。僕okeydonは、VISAをフィンテック企業のメイン投資先として、ほかにマスター、ペイパル、スクエア、ファイサーブの合計5社に分散投資してリスクヘッジをしています。
◆株価推移[単位:ドル]
株価121.29ドル(2021年3月23日現在)
【上場来チャート】
(チャート引用:ファイサーブ ホームページより。以下同様。)
【10年チャート】
【1年チャート】
※ 2018年3月に、1対2の株式分割を実施しています。チャート反映済み。
チャートはいずれも概ね右肩上がりです。上場来および10年チャートは大変美しいですね。1年チャートは前半部分は苦戦した時期になりますが、このところはしっかりと上げています。
◆業績(売上高、営業利益、当期純利益、EPS、営業利益率)
決算年度 売上高 営業利益 当期純利益[単位:百万ドル]
2013年 4814 / 1061 / 648
2014年 5006 / 1210 / 754
2015年 5254 / 1311 / 712
2016年 5505 / 1445 / 930
2017年 5696 / 1532 / 1246
2018年 5823 / 1739 / 1187
2019年 10187 / 1562 / 893
2020年 14852 / 1852 / 958
決算年度 調整後EPS[単位:ドル]
2015年 1.94
2016年 2.22
2017年 2.48
2018年 3.10
2019年 3.95
2020年 4.42
※株式分割反映済み
決算年度 営業利益率
2013年 22.04%
2014年 23.88%
2015年 24.95%
2016年 26.25%
2017年 26.72%
2018年 29.86%
2019年 15.33%
2020年 12.46%
業績は2018年まではピカピカ、売上高、営業利益、営業利益率、当期純利益、EPSの全てが成長しています。文句のつけどころがありませんでした。
2019年決算には、買収したファーストデータ社の売上・利益が寄与していますが、営業利益、当期純利益、営業利益率は低下しています。2020年もコロナ禍もあり苦戦しました。景気が悪くなると売上に直撃します。しかしながら、自社株買いにより、EPSは二桁成長を維持しています。
◆キャッシュフロー(フリーCF)[単位:百万ドル]
2012年 765
2013年 887
2014年 965
2015年 1006
2016年 1084
2017年 1223
2018年 1308
2019年 3287
2020年 3648
※2019年にはファーストデータ社のフリーCFが加算
フリーキャッシュフローは積み上がっています。
◆株主還元策(配当金、自社株買い)[単位:ドル]
配当履歴:なし
自社株買い:株主還元は自社株買いで行なっており、2008年からの10年間で、発行済み株式数はおよそ2/3にまで圧縮しています。これはVISAと同水準です。ファーストデータ社買収後の2年間は、債務返済を優先するために自社株買いを停止するとのことでしたが、2020年はコロナ禍で業績が奮わないなか、1-6月期に1,430万株、額にして14.4億ドルの自社株買いを実施しました。
◆予想配当利回り
配当履歴:なし
◆各種指標
予想ROE:9.974%
予想PER:45.06倍
※2021年3月23日現在
実績ROE:2.93%
実績PBR:2.51倍
自己資本比率:42.92%
※2020年12月期決算
◆まとめ
2018年までのピカピカの業績および2019年までの自社株買いによる株価のコントロールは大いに評価できます。2020年は試練の年ではありましたが、EPSはきっちりと2桁成長を維持しました。2021年は、小売決済事業部門が牽引することで再加速の兆しが見えます。
この先は、ファーストデータ社の買収によるシナジー効果がはっきりとは見えてくることが期待でき、さらにはキャッシュレス化の流れは加速していき、今さら現金主義に戻るはずもなく、フィンテックの古株企業として、これからも活躍すると思われます。寡占化×市場拡大=企業成長という計算式から、株価成長を期待しています。
僕okeydonは、高配当株や増配株をメインの投資先に置いてはいますが、一部アメリカの成長株にも投資しており、ポートフォリオの片隅に持っておいて良い銘柄だと判断して投資しました。
投資判断は自己責任にてお願いいたします。
今日も何事にも適温でまいりましょう。
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フィンテック企業、ペイパル
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