こんにちは、okeydon(おけいどん)です。
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8月2日、GPIFより、2019年度第1四半期の運用状況が公表されました。
GPIFは、正式名称「年金積立金管理運用独立行政法人」と言います。厚生労働省所管の独立行政法人です。日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行なっています。この度、年金の運用成績が発表されたという訳です。
2019年第1四半期(4〜7月)は、3ヶ月間で+0.16%です。市場運用が開始された2001年度数からの累計では、年率+3.0%の運用成績で、累計収益額は+66兆777億円です。運用額は、159兆2,133億円ですから、これは素晴らしい運用結果だと言えます。
(資料引用:GPIF公式サイトより)
遡ること7ヶ月、2019年1月に、『年金機構が危険な運用をして大切な年金を15兆円も溶かした』と批判していた国会議員がいました。確かに、GPIFの2018年10~12月期の運用実績は14兆8039億円の損失でした。これは市場運用を開始した2001年度以来、四半期ベースでは過去最大の損失です。
さらに遡ること、3年と少し、2016年4月には、「年金損失5兆円追及チーム」を立ち上げた野党もありました。このときは、GPIFの2015年度の年金積立金の運用実績が5兆円超の損失でした。
それぞれ損失を出したこと自体は嘘ではありません。しかしながら、運用成績というのは短期で評価するべきものではありません。そもそも、GPIFは短期で収益を上げることを目的とした運用をしていません。年金の積立金運用のために、長期的な運用を行なっています。従いまして、運用成績も長期的な結果で評価する必要があります。
分かりやすく例えますと、フルマラソンで走っているのに、10キロ地点から100メートルのラップタイムが遅すぎると批判しているのと同じです。フルマラソンは42.195キロでタイムを競うスポーツです。長距離走をしているのに、短距離走のベースで見ることに何の意味があるのでしょうか。途中の100メートルだけ切り取って評価することに何の意味もありません。年金運用もこれと同じです。年金運用はデイトレードではなく短期投資でもありません。長期投資なのです。
話をGPIFの運用成績に戻します。長期では、2001年から2019年第1四半期迄で、累計収益額は+66兆777億円です。平均すると年率+3.0%で運用しています。これは、リーマンショックを含めての成績です。全く問題ありませんね。
自分たちの主張を正当化するために都合のいいところだけを切り抜いて政治の道具にする人もいますし、視聴率を取るために都合のいいところだけを報道するマスコミもいます。そのような、いわば「フェイクニュース」に騙されないよう、ある程度の報道リテラシーや金融リテラシーを持つことは大切です。正しいかどうか分からない情報を鵜呑みにしないことです。そんな情報を鵜呑みにして選挙で投票するのは、悲劇を生みかねません。
「海外投資は危険だ、大切な年金で危険な運用をするな」と言う人がいます。であれば、年金を日本国債で全額運用するのでしょうか?それで、生涯安心な年金を構築できるのでしょうか?そんな夢のような話は、現実的に絶対にあり得ません。それに、そもそも海外投資が危険だというのは根拠がありません。単なるイメージです。アメリカ株ほど成長する投資先はありません。それは、NYダウの長期チャートが証明しています。
(チャート引用:世界経済のネタ帳より)
年金運用は、この先も短期的に損失を出すことはあるでしょう。その度にセンセーショナルに報道されます。政治利用する人もいます。しかし、運用成績のいい時は、何ら話題に上がりません。そこが注意点と言えます。長期的に見れば、GPIFは運用はうまくいっていますので、年金が溶けたとか心配する必要はありません。
(資料引用:GPIF公式サイトより)
今日も何事にも適温でまいりましょう。
GPIF公式サイト
https://www.gpif.go.jp
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