おけいどんの適温生活と投資日記(FIRE生活、世界30ヵ国の増配株、ETF、リート投資)

アーリーリタイア ブロガー 桶井 道/おけいどんがFIRE生活と投資、介護(父は要介護5、母はがんサバイバー)について綴ります。投資歴25年、日米など30ヵ国の増配株、ETF、リート。【メディア掲載/コラム連載】多数、プロフィールに記載。【著書】 3冊(FIRE本、米国ETF投資本、新NISA活用本、Amazonにて桶井 道で検索して下さい)【仕事依頼について】問い合わせフォーム(「カテゴリー検索」から探せます)からお願いします

●ゾエティスは動物用医薬品の寡占企業、人口増はペット・家畜増で商機

(初回投稿:2019年9月3日)
(リライト:2019年9月9日)


ゾエティス/Zoetis(ティッカー:ZTS)は、動物(家畜およびペット)医薬品に特化した世界トップの企業です。人間の医薬品業界は競争が激しいですが、動物医薬品業界はライバルらしいライバルは他におらずゾエティスが寡占しています。

そして、世界的に人口が増えますから、飼われるペット数も食糧になる家畜も正比例して増えることになります。

寡占企業×市場拡大=企業成長が見えてきます。

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こんにちは、okeydon(おけいどん)です。


今日は、僕okeydonが投資を検討しているゾエティスの銘柄分析です。

一般的に医薬品業界は競争が激しいですが、動物医薬品業界に限って言えばまったく状況が異なります。ゾエティスの寡占状態です。それがゾエティスに興味持った理由です。


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◆ゾエティスとは
ゾエティスは動物医薬品専門のメーカーです。元は医薬品メーカー ファイザーの一部門でした。

その歴史は1950年まで遡ります。ファイザーの研究者が、家畜を感染性微生物から守る抗生物質テラマイシンを発見しました。テラマイシンは100種類以上の感染性微生物に有効な抗生物質です。今もなお、有効な薬剤です。

このテラマイシンがきっかけで、1952年に、ファイザーのなかにアニマルヘルス事業部門が設立されました。

様々な動物用医薬品(後述)で成功して、2013年にファイザーからスピンオフ(分離独立)され上場しました。


競合は、メルク、バイエル、ベーリンガーインゲルハイムなどですが、いずれも人間の医薬品メーカーの一部門です。動物医薬品専門メーカーとして競合するのはエランコ(元イーライリリーの一部門でスピンオフ)です。


ゾエティスは世界120ヶ国以上で、

牛、豚、鳥(家禽)、羊、馬、魚、犬、猫の8種類の動物を対象に、

動物の医薬品(感染症治療薬、駆虫薬など)、ワクチン、薬用飼料添加物、診断用製品の開発、製造、販売を手掛けて、300以上の製品を展開しています。

ペットが嫌がらない薬も開発しています。例えば、犬用のノミ・マダニの駆虫薬であるシンパリカは、嗜好性の高い小粒なミートフレーバーチュアブル錠です。同社の統計によりますと、94%の犬が1分以内で自発的に食べて、90%の犬が3ヵ月間投与した後でも自発的に食べ続ける結果となり、犬は餌だと認識しています。薬でありながらも犬が嫌がらない、ペットに負担のない製品に仕上げています。
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対象とする動物の種類が多く、それだけバランスよく製品を持っており、それらを世界展開しています。これは、ひとつの商品やひとつの国に頼っておらず分散が効いており、事業ポートフォリオがしっかりと構築できていると言えます。


世界的に人口は増え続けているため、ペットも家畜も増加しています。

アメリカは犬猫の飼育数が世界トップですが、それだけペットにかけられる金額が多いということです。次いでペット数が多いのは中国、一人っ子政策の影響で兄弟がいない子供が多いことからペットブームになっています。世界的にペット関連の需要が増加しています。人口増=ペット増という自然な流れですね。

また、新興国では肉や乳製品の需要が増加しており、家畜数が増え続けています。人口増=食糧需要増ですので、この流れは止まらないでしょう。

ほかに、畜産業の大規模化により、家畜の伝染病リスクが高まっており、伝染病を理由とする畜産農家の経済損失は世界で年間32兆円を超えるとも言われています。


人間の医薬品とは異なり、動物の医薬品は市場規模がまだまだ小さいことから、ジェネリック医薬品との競合がさほどありません。特許が切れた製品でさえも、競合が参入しないことから、今でもしっかりと売り上げがあがっているものがあります。


それだけ、ゾエティスには商機があるということになります。冒頭でも書きましたように、寡占企業×市場拡大ということで、ゾエティスの成長が見込まれます。


補足ですが、2019年にアメリカのメディケア法案への不安から、ヘルスケアセクターの株価が下げましたが、動物医薬品メーカーのゾエティスには同法案は関係ありません。


また、動物の医薬品の市場規模は小さく、人間の医薬品に比べると約3%の約320億ドルに過ぎません(2017年実績)。このように市場規模は小さいですが、ライバル企業がなく、ニッチ産業を寡占していると言えます。


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◆新薬開発・発売の歴史
1950年 テラマイシンを発見
テラマイシンは家畜を感染性微生物から守る抗生物質で、100種類以上の感染性微生物に有効です。今もなお有効な薬剤です。

1980年 リカマイシンLA 200を発売
1回の注射で牛の様々な病気を治療できる薬剤です。

1993年デクトマックスを発売
広範囲寄生虫駆除剤です。画期的なもので、今でも最も売れている製品の一つです。

1997年 リマダイルを発売
世界初の犬用非ステロイド消炎鎮痛剤です。

1997年 クラバモックスを発売
世界初の犬猫用抗菌剤です。

1999年 レボリューションを発売
犬糸状虫とノミの寄生予防・駆除およびミミヒゼンダニを駆除するスポット剤です。 同種の薬剤としてはFDA承認を取得した最初の製品になります。

2004年 ドラキシンを発売
家畜用抗生物質で、単回投与で確実な効果が持続します。

2006年 コンベニアを発売
猫の細菌性皮膚感染症の治療薬 抗生剤で、1回の注射で14日間持続する初めての薬剤です。

2009年 パラディアを発売
犬の肥満細胞腫の治療薬です。同種の薬剤としてはFDA承認を取得した最初の製品になります。


このように、自社開発で様々な初めてとなる有効な薬剤を開発してきました。

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M&Aにより事業拡大
1995年 スミスクラインビーチャムのアニマルヘルス部門を買収
ワクチンおよび小動物事業に参入しました。これを機に、ペット分野で確固たる地位を獲得しました。

2003年 ファルマシアを買収
多くの牛用製品を獲得しました。

2007年 エンブレックスを買収
家禽向けデバイスおよびワクチンの分野に事業を拡大。また、犬用に開発された最初の制吐剤セレニアを発売しました。

2008年 カタパルトジェネティクスおよびボヴィジェンを買収
家畜生産者向けのDNA技術と動物遺伝学の専門的知識を取得しました。

2009年 ワイスおよびフォートダッジを買収
犬、牛、馬、家禽用のワクチン事業を取得しました。

2010年 マイクロテックインターナショナルを買収
水産用ワクチンに参入しました。

2010年 シンバイオテックを買収
動物用診断薬事業に参入しました。

2011年 キングファーマシューティカルおよびアルファーマを買収
抗菌性飼料添加物事業と鶏事業分野における地位を強化。また、牛および豚事業分野における地位を更に強化。

2017年 ネクスベットを買収
臨床病期を対象とするバイオ医薬品メーカーを買収。ヒト生物製剤に基づく新型の種特異性生物製剤を開発したメーカーです。

2018年 アバキスを買収
動物病院向け血液検査機器のメーカーです。

このように、ファイザー時代もスピンオフしてからも、M&Aによって事業規模、事業領域を拡大してきました。



こうして、ゾエティスは、自社開発とM&Aを両輪として、寡占化を果たしたというわけです。

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ゾエティスの、市場シェアを確認しましょう。

◆国別の市場シェア(近年実績)
アメリカ 1位
中南米 1位
アジア 2位
西欧 3位

ゾエティスは、アメリカと中南米で市場シェア1位、アジアで2位、西欧で3位です。


◆動物別の市場シェア(近年実績)
牛(家畜) 1位
魚(養殖) 1位
豚(家畜) 2位
ペット 2位

ゾエティスは、動物別では、牛と魚が市場シェア1位、豚とペットが2位です。


◆製品ごとの市場シェア(近年実績)
鎮静剤、皮膚薬など 1位
感染症 1位
医療用飼料 2位
ワクチン 3位



ゾエティスの売上高シェアを確認しましょう。

◆国別売上高シェア
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(資料引用:ゾエティス サイトより)

ゾエティスの売上高は、アメリカが半分を占めています。残り半分は先進国から新興国までワールドワイドです。



◆動物別の売上高シェア
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(資料引用:ゾエティス サイトより)

牛31%
豚1​​2%
家禽9%
魚2%
その他の家畜1%
ペット 45%

ゾエティスの売上高は、家畜とペットが半々で構成されています。バランスが良いと言えます。



◆製品ごとの売上高シェア
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(資料引用:ゾエティス サイトより)

抗感染薬22%
ワクチン26%
寄生虫薬15%
薬用飼料添加物8%
その他の医薬品24%
その他の非医薬品3%
健康診断2%



◆株価推移[単位:ドル]
5年株価チャート
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5年チャート S&P500と比較
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(チャート引用:いずれもゾエティス サイトより)


始値
2013年2月 31.50
2014年 32.53
2015年 43.46
2016年 46.94
2017年 53.88
2018年 72.54
2019年 84.51
2019年8月30日 126.42

2013年 IPO時の株価は26ドルでしたが、5.5年で株価は5倍弱まで成長しました。綺麗に右肩上がりのチャートをしています。S&P500よりもパフォーマンスが優れています。



◆業績(売上高および当期純利益)[単位:百万ドル]
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決算期 / 売上高 / 当期純利益
2013年12月期 / 4,561 / 504
2014年12月期 / 4,785 / 583
2015年12月期 / 4,765 / 339
2016年12月期 / 4,888 / 821
2017年12月期 / 5,307 / 864
2018年12月期 / 5,825 / 1,428
2019年12月期 / 6,202 / 1,378
2020年12月期 / 6,606 / 1,639
※2019年および2020年は予想。


売上高も利益も順調に成長しています。2020年12月期の純利益予想は、2016年12月期実績の2倍になります。



キャッシュフロー[単位:百万ドル]
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決算期 / 営業CF / 投資CF / フリーCF
2013年12月期/ 681 / 399 / 610
2014年12月期/ 626 / 396 / 882
2015年12月期/ 664 / 364 / 1,154
2016年12月期/ 713 / 376 / 727
2017年12月期/ 1,346 / 482 / 1,564
2018年12月期/ 1,790 / 432 / 1,602

フリーキャッシュフローは順調に積み上がっています。



◆1株利益、配当金、増配率[単位:ドル]
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決算期 / 1株利益 / 配当金 / 増配率
2013年12月期 / 1.01 / 0.267 /
2014年12月期 / 1.16 / 0.299 / +12.0%
2015年12月期 / 0.68 / 0.344 / +15.1%
2016年12月期 / 1.65 / 0.390 / ++13.4%
2017年12月期 / 1.75 / 0.441 / +13.1%
2018年12月期 / 2.93 / 0.542 / +22.9%
2019年12月期 / 2.95 / 0.610 / +12.5%
2020年12月期 / 3.58 / ? / ?
※2019年および2020年は予想。

スピンオフした2013年から配当金を出しています。2013年は0.276ドルでしたが、2018年は0.542ドルで、およそ2倍になっています。毎年かなりの増配率で配当金は伸び続けています。



◆予想配当利回り、海外課税
予想配当利回り:0.48%
(2019年8月30日現在)

この5年間で配当金はおよそ2倍ですが、株価は5倍弱とそれ以上に伸びていますから、配当利回りはなかなか上がってきません。

配当金に掛かる海外課税はアメリカですから10%です。



◆各種指標
ROE:62.77倍
予想PER:42.85倍
実績PBR:27.76倍
※2019年8月30日現在


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◆まとめ
ゾエティスは、自社開発とM&Aを両輪として寡占化を果たしてきた結果、ライバルらしいライバルは他におらず市場を寡占しています。特許が切れた製品でさえも、今なお売り上げをあげているものがあるほどです。全世界に販売網を広げて、多くの動物の、多くの疾病に対応しており、事業ポートフォリオをしっかり構築しました。

この先の業界の見通しは明るく、世界的に人口が増えるためペットも家畜も正比例して増えることになります。

従いまして、寡占企業×市場拡大ということで、企業も株価も成長する方程式が成り立つということが予想できます。

過去の実績を見ると、売上も利益も一株利益も綺麗に成長し、それらに添うように株価も上がっています。

総合的に見て、近いうちに投資しようと思います。


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投資判断は自己責任にてお願い致します。



今日も何事にも適温でまいりましょう。



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