こんにちは、okeydon(おけいどん)です。
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IBMがスピンオフしました。続いて、AT&T、JNJ、GEもスピンオフを発表しています。
これら銘柄に限らずですが、保有株がスピンアウト、もしくはスピンオフされる場合、株主はどのような対処が必要でしょうか?
この記事では、保有株がスピンオフorスピンアウトされる場合に、株主が取るべき対応について、綴ります。
- ◆免責事項
- ◆スピンオフとスピンアウト
- ◆スピンオフ(アウト)時の各証券会社の対応
- ◆確定申告にあたり注意点、買付価格の把握
- ◆買付価格が分からなくなった場合の税額
- ◆スピンオフ(アウト)後の買付価格の算出方法
- ◆売却時は必ず確定申告を
- ◆スピンオフ(アウト)前に売却も一案
- ◆まとめ
◆免責事項
執筆にあたり、税務署に問い合わせしました。疑問点は一通り質問したうえで記事にしました。ただし、最終判断をされる折には、改めて皆様ご自身で関係各所にご確認頂きますようお願い致します。正確な情報を提供できるよう最善を尽くしてはおりますが、本ブログの内容によるいかなる損失や損害に対して、その責任を一切負わないものとします。
◆スピンオフとスピンアウト
まず初めに、語句の説明をしましょう。分社化には、スピンオフとスピンアウトがあります。スピンオフは比較的聞きますが、スピンアウトは稀ではないでしょうか。
話が脱線しますが、スピンオフドラマが流行りですね。有名どころでは、ドラマ「ドクターX」のスピンオフドラマとして「ドクターY」があります。スピンオフドラマとは、ドラマの外伝としてつくられるドラマのことです。ドラマは本家、スピンオフドラマは分家、そんなイメージですね。企業のスピンオフについても、これでなんとなくイメージが湧かれたのではないでしょうか?
それでは、スピンオフとスピンアウトを説明しましょう。
・スピンオフとは
会社が事業の一部を切り離して別会社を作り、その別会社が元の会社と資本関係を継続する場合を「スピンオフ」と言います。元の会社から出資を受けて独立し、資本関係を継続させる手法で、親会社と子会社の関係になります。
スピンオフの具体例としては、NTTデータなどがあります。元はNTTの一部門でしたが、スピンオフして別会社になりました。
また、米国では、ウェブ決済事業のペイパルがあります。元はネットオークション大手イーベイの傘下にありましたが、スピンオフして別会社になりました。
(ビザを切り分けて同じお皿にあるなら、スピンオフ)
・スピンアウトとは
それに対して、元の会社と資本関係を継続しない場合を「スピンアウト」と言います。資本関係を継続させませんから、完全な独立企業となります。
スピンアウトの具体例としては、米国の動物専門医薬品メーカーのゾエティスがあります。ゾエティスは、元はファイザーのアニマルヘルス部門でしたが、スピンアウトして別会社になりました。
(ピザを切り分けて別のお皿に移せば、スピンアウト)
◆スピンオフ(アウト)時の各証券会社の対応
特定口座にて保有していた株が、スプンオフ(アウト)となった場合、各証券会社はどういう対応となるのでしょうか?
スピンオフの注意事項
A株がB社をスピンオフ、とのコーポレートアクションを発表した段階で、A社もB社株も一般口座に払い出されます。また、A社株、B社株ともに単価調整は行われず取得単価はA社株で特定預かりの際に購入した際の取得単価を、「参考単価」として表示します。
特定口座で保有していた海外株式に、非整数倍の株式分割(無償割当)、株式配当等のコーポレートアクションが発生した場合、特定口座から一般口座へ払い出された後に、コーポレートアクションの手続きがおこなわれます。
なお、コーポレートアクションにより一般口座に払い出された株式を再び特定口座へ移すことは出来ません。
・マネックス証券
マネックス証券では、次のように取り扱われます。
原則として、保有していた親会社の株式の口座区分は変更されず、スピンオフした子会社の株式は一般口座に入庫いたします。
各社、このような対応になります。多くの場合、一般口座にシフトされるということになりますので、確定申告を自分でする必要が生じそうです。ただし、個別の事情等により、異なる場合もありますから、最終的にはご自身でご確認、ご判断頂きますようお願い致します。
◆確定申告にあたり注意点、買付価格の把握
確定申告で、重要な点は、買付価格の把握です。スピンオフ(アウト)後に一般口座に表示される「参考価格」をそのまま確定申告の計算には使えないと思われます。そこで、スピンオフ(アウト)前に買付価格を記録しておく必要があります。書面を保管する、電子交付書面を保存する、画面をスクリーンショット撮影しておく、などが考えられます。
また、ドル建ての株価だけではなく、為替レートも記録が必要です。つまり、日本円建てでの買付価格の記録が必要というわけです。
なぜなら、確定申告は、「日本円換算の売却価格」ー「日本円換算の買付価格」にて計算するからです。
また、この買付価格とはスピンオフ(アウト)当日の株価ではなく、当該銘柄に投資したときの取得単価になります。
◆買付価格が分からなくなった場合の税額
買付価格の記録を失った、もしくは怠った場合は、なかなかパンチのある課税が待っています。税務上、売却額に5%乗じた額が買付価格として認定されてしまいます。具体例を出しますと、日本円に換算して10万円で売却した場合、買付価格は5000円とされる訳です。従いまして、譲渡益は95000円とされ、そこに約20%の課税がなされます。こうならないよう、必ず買付価格の記録を残してください。
◆スピンオフ(アウト)後の買付価格の算出方法
次に、スピンオフ(アウト)されて、会社が2社に分割されたあとの、2社それぞれの買付価格の計算方法を説明します。
それは、分割割合から計算します。
例えば、買付価格が日本円換算で500円だったA社が、4:1で新A社とB社に分割されたと仮定しましょう。
この場合、新A社の買付価格は400円、B社の買付価格は100円となります。
このように、計算には、取得単価とそのときの為替レートが必要となる訳ですね。
分割割合は、スピンオフ(アウト)時に株がどう分割されるのか、そのシェア、その比率で計算できます。
◆売却時は必ず確定申告を
スプンオフ(アウト)された2社いずれかを売却するときには、一般口座扱いになっているはずですから、必ず確定申告をする必要があります。その折は、前出の事項に充分に配慮されて対応してください。
◆スピンオフ(アウト)前に売却も一案
こんなことを先々まで抱えておくのはあまりに面倒くさい!と思われる投資家さんもおられると思います。ごもっともです。僕okeydonもそう感じます。いつまでも記録を取っておくなど、面倒ですし、紛失のリスクもあります。万が一、買付価格が分からなくなりますと、悲惨な課税が待っています。
そこから解放されるために、スピンオフ(アウト)前に売却するというのも、ひとつの手段だと思いますね。
そして、スピンオフ(アウト)後に、改めて買い付ければ、特定口座で管理が可能という訳です。