おけいどんの適温生活と投資日記(セミリタイア、世界高配当株収集家)

おけいどん(桶井 道)がセミリタイア適温生活と投資について綴ります。現在は時短社員、2020年12月末にアーリーリタイア予定。投資(分散投資という名のもと世界の株を収集)、節約、節税、銀行との付き合い、親孝行、ホテル、スイーツ、サンカーなど。メディア掲載:日経マネー2020年1月号、日経新聞電子版2020年5/4号・5/6号。

●SATS シンガポールの空港&航空関連企業、業績安定 増配銘柄

こんにちは、okeydon(おけいどん)です。


今日は、日米以外の国の企業を紹介する「世界の相場から」シリーズです。


シンガポールの企業SATS(社名がそのまま取引コードになっています。)を分析、紹介します。この社名は、シンガポール・エア・ターミナル・サービスという旧社名に由来します。

旧社名から分かるように、空港や航空関連の事業を行なう企業です。


旅好きの方でしたら、チャンギ空港にてSATSが運営する空港ラウンジを利用された可能性がありますね。あるいは、預け荷物を飛行機に載せてくれたのはきっとSATSですし、機内食を提供してくれたのもきっとSATSです。シンガポールに旅行されたら、何らかの形できっとお世話になっているはずです。そして、もっと身近なところですと、子会社が羽田/成田空港で機内食製造をしており、海外旅行の折に、お世話になっている人が多くいらっしゃいます。

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◆SATSとは
社名:SATS
(旧社名:Singapore Airport Terminal Services Limited)

本社:シンガポール

設立:1972年12月15日

資本金:288,018,000シンガポールドル
日本円にして約231億円となります。
※2010年3月31日現在(最新データが見つかりませんでした)
※1シンガポールドル=80.31円(2020年1月7日レート)にて換算。以下同様。

上場市場:シンガポール証券取引所

上場年:2000年5月12日

証券コード:SATS

時価総額:5,687.73百万シンガポールドル
日本円にして、約4567億7800万円
※2020年1月7日現在

この時価総額は、日本企業で言う、クラレ(約4539億円)やイオンモール(約4457億円)あたりになります。

決算月:3月31日


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概略:SATSは、シンガポールチャンギ空港で、空港貨物、地上ハンドリング、機内清掃、機内ケータリングサービス(機内食)、空港警備などを扱う企業です。

チャンギ空港において、地上ハンドリングおよび機内ケータリングサービスのチーフプロバイダーであり、それら事業の約80%をSATSが担当しています。

事業ポートフォリオは、主にこのチャンギ空港での事業になりますが、ほかに日本を含むアジア・太平洋各国の空港でも事業を行なっています。その数は、13ヵ国、60拠点にも及びます。

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(SATSホームページより引用)


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◆事業ポートフォリオ(国別、売上ベース)

【単体】
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【連結】
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【連結、国別売上】
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(グラフ引用:SATSホームページより)


最新決算の資料によりますと、単体では、売上の82.4%をシンガポール国内にて稼ぎます。次いで日本が13.6%、その他4.0%です。連結では、シンガポールが63%、中国が11%、日本が10%となっています。



チャンギ空港は利用者数増加、さらなるターミナル拡張の予定

SATSが主に事業を行なう、シンガポールの空の玄関口であるチャンギ空港は、世界最高峰の空港として有名です。スカイトラックス社の世界の空港ランキングで、実に7年連続1位を獲得しました。

チャンギ空港は、今でも成長し続けています。2017年10月にターミナル4を開業したばかりですが、現在さらにターミナル5の建設を計画しており、2020年代半ばに開業する予定です。ターミナル5は、既存のターミナル1〜3を足したものと同規模の巨大なターミナルになります。

ターミナルの拡張とともに、利用者数も増加の一途で、2018年には世界中から6,560万人の旅行者が利用しました。この数には、シンガポールへの入国者だけではなく、トランジット客も含んでいます。チャンギ空港は世界各地の空港と結ばれるハブ空港です。 100以上の航空会社が、世界100ヵ国の400以上の都市と航路を結んでおり、世界中の旅行者がチャンギ空港で飛行機を乗り換えます。結果、国際線利用旅客数が世界で7番目に多い空港となりました。アジアでは1位です。


チャンギ空港利用者数推移】
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(一般財団法人自治体国際化協会の資料より引用)


このように、SATSの事業ポートフォリオ1位となるチャンギ空港は、これからも規模、利用客数ともに拡大していきます。



◆日本の首都圏空港も利用者数増
SATSは、日本において、子会社ティエフケーを有します。羽田空港と成田空港にて、機内食ケータリング事業を行なっており、50の航空会社に機内食を提供しています。ほかに、航空会社ラウンジ業務の受託、ホテルおよびレストランの経営等も行なっています。

羽田空港は離着陸ルートの見直しにより、航空便が増加する予定です。成田空港は新しい滑走路の建設構想があります。もっと広い目で見ますと、日本政府はインバウンド政策を継続しており、2018年に3119千万人だった訪日外国人旅行者数は、2020年には4000万人を、2030年には6000万人を目標としています。

従いまして、両空港の需要は拡大していくことでしょう。


【成田空港の旅客数推移】
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(成田空港ホームページより引用)


羽田空港の旅客数推移】
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(国土交通省ホームページより引用)


【日本のインバウンド推移】
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(観光庁ホームページより引用)


SATSの事業ポートフォリオ上位の日本、羽田空港および成田空港も事業環境は良好と言えます。


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◆伸びるアジア太平洋地区での航空需要
シンガポールと日本以外にも目を移しましょう。

IATA(国際航空運送協会)が2017年に発表した、航空需要の予測によりますと、2036年までに世界の航空旅客数は78億人に達します。これは2017年実績40億人のほぼ2倍になる計算になります。2017年から2036年までの年平均成長率は3.6%と見込まれています。

最大の増加が予想されるのはアジア太平洋地区です。2017年から2036年の20年間で増加する航空旅客数の半分以上が、同地区からと予測されてます。


IATAによる国別の航空旅客数増加予想ランキングは次の通りです。

順位 国名 増加予想、旅客数
1位:中国 9億2100万人増、15億人
2位:アメリカ 4億100万人増、11億人
3位:インド 3億3700万人増、4億7800万人
4位:インドネシア 2億3500万人増、3億5500万人
5位:トルコ 1億1900万人増、1億9600万人

SATSは、このトップ5のうち、中国、インド、インドネシアにて事業を行なっています。

【世界の航空旅客需要予想(2013年〜2033年)】
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(国土交通省資料より引用)


【世界の航空旅客輸送量予測(2018年〜2037年)】
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(成田空港ホームページより引用)



◆伸びる機内食需要
グローバル機内ケータリング市場調査レポート2019-2025によりますと、世界の機内ケータリング(機内食)市場は、2018年に174億2000万米ドルの価値があり、2026年には2783億米ドルに達すると予想しています。また、2019年から2026年までのCAGR(年平均成長率)は6.04%成長と予想しています。

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◆様々な角度から事業環境は良好
このように、SATSを取り巻く事業環境は、様々な角度から見て、良好と判断出来ます。



◆事業別売上シェア(単体)
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(グラフ引用:SATSホームページより)

フード・ソリューションとは、機内食ビジネス、医療ケータリング、冷蔵食品および冷凍食品の製造などです。

ゲートウェイ・サービスとは、航空貨物、地上ハンドリングサービス、航空セキュリティ、航空機の清掃などの空港ターミナルサービス事業です。

両事業がおよそ半々のシェアです。


Aviationとは、航空という意味です。航空系事業が85.7%、非航空系が14.3%と、ほとんどが航空関連事業です。

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◆新工場稼働
チャンギ空港に、機内食製造や食品技術の開発を行なう新調理施設を2019年3月に稼動させました。投資額は2500万シンガポールドル、日本円にして約20億4,400万円です。最新の機内食製造設備を備えています。この施設で調理した機内食は、2019年6月よりシンガポール航空傘下の格安航空会社スクート・タイガーエアにて提供されています。

また、食品技術の開発については、シンガポール民間航空庁から資金援助を受けて、半年~2年間常温保存が可能な調理済み食品を開発します。新規事業として期待できます。



◆成長戦略
航空需要が急拡大するアジアや中東への進出を成長戦略に掲げており、中国、インド、台湾、オマーンなどで合弁事業を展開しています。さらに海外事業からの売上、利益貢献を増やすため、海外市場での存在を強めるとしています。

具体的には、2019年に、中国の機内食製造企業である南京味洲航空食品(本社:江蘇省)に50%出資しました。出資額は、3120万シンガポールドルで、日本円にして約25億円です。これまで中国では9拠点ありましたが、中国の航空関連業界は成長が続いているため、事業を拡大しています。

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◆リスク
地政学リスク、政治リスク、疾病リスク、不景気リスクなどがあります。それらリスクが発生すると、人も物も国際間移動が減少します。事業ポートフォリオの多くが航空系ですので、これら理由により旅客や物流が減少することが事業リスクになります。しかしながら、長期的視点で見れば、アジア太平洋地区の航空需要は増大していきますので、これらリスクはそれほど気にする必要はないと思われます。



◆株価推移[単位:シンガポールドル]

【上場来チャート】
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(チャート引用:SATSホームページより。以下同様。)

上場来チャートを見ると、2000年に上場して以降、リーマンショックで大きく下げた以外は、概ね右肩上がりです。

【5年チャート】
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5年チャートを見ると少し感想が変わってきます。2017年まで株価は上昇してきましたが、それ以降の3年間は4.5〜5.5シンガポールドルのボックス圏で動いています。


株価(2020年1月7日現在):5.11シンガポールドル
※1シンガポールドル=80.31円(2020年1月7日レート)



◆業績(売上高、営業利益、当期純利益)[単位:百万シンガポールドル]

決算期 売上高 営業利益 当期純利益
2011年3月期 1729.1 / 184.5 / 191.4
2012年3月期 1871.6 / 165.7 / 170.9
2013年3月期 1819.0 / 192.3 / 184.8
2014年3月期 1786.7 / 171.0 / 184.0
2015年3月期 1753.2 / 178.0 / 195.7
2016年3月期 1698.2 / 214.7 / 220.6
2017年3月期 1729.4 / 230.6 / 257.9
2018年3月期 1724.6 / 226.4 / 261.5
2019年3月期 1828.0 / 247.0 / 248.4

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(グラフ引用:SATSホームページより。以下同様。)

売上高は安定的です。営業利益、当期純利益は若干の増加が見られます。2019年3月期に、売上高が対前年6%増となったのは、チャンギ空港の第4ターミナル開業(2017年10月)が通年寄与したからと想像されます。


キャッシュフロー(営業CF、投資CF、フリーCF)[単位:百万シンガポールドル]
決算期 営業CF 投資CF フリーCF
2011年3月期 250.2 / 68.1 / 132.1
2012年3月期 210.7 / 64.3 / 103.7
2013年3月期 277.5 / 37.8 / 208.1
2014年3月期 288.3 / 57.1 / 189.8
2015年3月期 272.8 / 61.3 / 175.1
2016年3月期 309.9 / 51.2 / 221.9
2017年3月期 351.8 / 88.1 / 220.8
2018年3月期 298.4 / 99.2 / 146.3
2019年3月期 344.2 / 87.6 / 208.0


営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローは上下しながらも、増加傾向にあります。


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◆株主還元策(1株利益、配当金)[単位:シンガポールセント]
決算期 1株利益 配当金(特別配当)
2011年3月期 17.3 / 11.0(6.0)
2012年3月期 15.4 / 11.0(15.0)
2013年3月期 16.5 / 11.0(4.0)
2014年3月期 16.0 / 13.0
2015年3月期 17.4 / 14.0
2016年3月期 19.7 / 15.0
2017年3月期 23.0 / 17.0
2018年3月期 23.2 / 18.0
2019年3月期 22.2 / 19.0


【1株利益推移】
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【配当推移】
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(グラフ引用:SATSホームページより)

1株利益は増加傾向にあります。増配を継続しており、2019年3月期の配当性向は85.58%です。良く言えば株主還元に熱心ですが、悪く言えば増配の余裕がなくなってきてきます。この先も1セント増配を継続できるかどうかは、成長戦略どおりにストーリーが進むかどうかにかかってきます。



配当利回り、海外課税
配当利回り(2019年3月期配当実績÷現株価):3.72%

予想配当利回り(2020年3月期も1セント増配で20セント配当と仮定):3.91%

シンガポールの配当金への税率は0%、非課税です。

高配当株投資家として、触手が伸びます。


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◆各種指標
ROE
2015年3月期 13.7%
2016年3月期 15.0%
2017年3月期 16.7%
2018年3月期 16.2%
2019年3月期 15.1%
2020年3月期予想 14.7%

予想PER 23.07倍

自己資本比率 69.02%
※以上、2020年1月7日現在

実績PBR 3.43倍
※2019年3月期実績



◆まとめ
SATSは、シンガポールハブ空港チャンギ空港をメインとした空港および航空関連事業を経営しており、その他アジア太平洋地区で多くの事業拠点を構えています。

この先のアジア太平洋地区の航空需要は増加予想であることから、SATSの活躍チャンスはおおいにあります。

ただし、この10年ほどの売上高は、チャンギ空港の利用者数増加に対して、それほどまでには成長していないことから、この先も3〜5年では驚くような成長は見込めないでしょう。しかしながら、安定的な業績は十二分に期待できます。

もう少し長いスパンで見ると、巨大ターミナルとなる第5ターミナルが2020年代半ばに開業するのは、大きなビジネスチャンスです。その後も、2030年代に向けて、アジア太平洋地区では航空需要が大きく伸びることが予想されており、これもビジネスチャンスと言えます。従いまして、長期〜超長期的には、株価成長も期待できます。

株主還元には熱心で増配が続いており、配当利回りは4%近くある上に、シンガポールでは配当金は非課税です。

株価は、この3年間4.5〜5.5シンガポールドルのボックス圏で動いています。この記事を執筆している2020年1月7日段階では5.11ドルです。

高配当株投資家として、投資妙味を感じます。株価の動向を鑑みながら、下値の4.5シンガポールドルに近づいたタイミングが投資チャンスと言えます。買付リストに入れることとしました。

ただし、アメリカにADR株は上場しておらず、シンガポール証券取引所での取引になるため、日米株に比べて取引手数料も為替手数料も割高になります。また、配当金は、米ドルではなくシンガポールドルで振込まれるため、通貨が分散することから投資効率が落ちることを理解する必要があります。

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投資判断は自己責任にてお願い致します。記事に記載の各種データには誤りがある可能性がありますから、投資の折には、皆様におかれましても公式サイト等で再度確認頂きますようお願い致します。



以上、世界の相場からシリーズ、いかがでしたでしょうか。



今日も何事にも適温でまいりましょう。


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関連記事です。
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