こんにちは、okeydon(おけいどん)です。
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投資家なら誰もが気になるアメリカ大統領選挙まで1ヶ月を切りました。誰もが気になりながらも、アメリカ大統領選挙の仕組みについてはなかなか正しい理解が広がっていないとも思います。直接選挙で得票数が多い候補が大統領になると思われがちですね。実は違います。
この記事では、アメリカ大統領選挙の仕組みについて綴ります。
◆政党と候補者
まず初めに政党に関して触れます。アメリカには2大政党があって、共和党と民主党がそれにあたります。大統領は必ず、そのうちのいずれかの政党に所属しています(大昔に遡ると無所属などもいましたが、時代が古すぎて歴史の話になりますから、ここでは割愛します。)。再選を目指すトランプ大統領は共和党、対抗馬バイデン前副大統領は民主党です。アメリカでは、大統領は2選まで可能となっていますので、今回は現職のトランプ大統領が立候補できるということになります。
過去に遡ると、共和党の大統領としては、ブッシュJr.、ブッシュ、レーガン、フォード、ニクソン、アイゼンハワーなど、民主党の大統領としては、オバマ、クリントン、カーター、ジョンソン、ケネディなど(敬称略)。歴史が新しい順に、名前を上げましたが、聞いたことのある名前ばかりで、アメリカ大統領の偉大さが分かりますね。
◆被選挙権
アメリカ大統領になるための条件は、①出生がアメリカであり、アメリカ国籍を有すること②35歳以上であること③アメリカに14年以上在住していること、この3つです。大統領の任期は1期4年で、2期まで務めることが可能ですが、すでに大統領を2期務めたものには被選挙権はないということになります。
◆高齢のふたりと副大統領
現在、トランプ大統領は74歳、バイデン前副大統領は77歳(就任時には78歳を迎えている。)と、いずれも高齢です。どちらが当選しても史上最高齢の大統領となります。
もし、大統領在任中に、役割を果たせなくなる事態、辞任や死亡などが起こればどうなるのでしょうか。
その場合は、大統領継承権が決められており、副大統領、下院議長、上院議長代行、国務長官の順となっています。従って、大統領が辞任もしくは死亡した場合はその大統領の残りの任期を副大統領が大統領に昇格して務めることになります。
今回は両候補が高齢のため、副大統領候補も、大統領選挙に影響すると思われます。
副大統領の候補者は、大統領候補者の指名によって決められます。共和党は現職のペンス副大統領が候補で、民主党はハリス上院議員が候補です。
ハリス上院議員は、2011年からカリフォルニア州で司法長官を2期務め、その手腕は民主党の若手のなかで注目されました。2017年にカリフォルニア州選出の上院議員になりましたが、黒人女性としては史上2人目でした。バイデン前副大統領が当選すれば、ハリス上院議員は副大統領に就任することになり、初の女性副大統領となります。もし、大統領になると、初の女性大統領となります。
◆選挙中に候補不在になった場合
トランプ大統領が新型コロナに感染し、心配されています。あっては欲しくないですし、もしもの話として記述します。大統領選挙は、その選挙期間中に候補者の身に何かがあり候補者不在となってしまった場合、法律には明確な規定がありません。副大統領候補が自動昇格して大統領候補になるわけではないのです。
◆選挙の仕組み、選挙人
アメリカ大統領選挙は国民の直接選挙により得票数が多い方が当選すると思われがちですが、実は違います。少し複雑な仕組みになっています。
得票数が多かろうと、当選できないこともあるのです。事実として、前回の大統領選挙があった2016年まで記憶を遡りましょう。当時、トランプ候補とクリントン候補が選挙戦を戦いましたが、得票数だけでいえばクリントン候補が上回っていました。しかしながら、当選したのはトランプ候補でした。何故、そうなったのか?
大統領選挙がどのような仕組みになっているのか説明しましょう。
キーワードは「選挙人」です。これを頭に置いてください。選挙人とは何か、少しずつ掘り下げていきます。
大統領選挙では、まず州の人口ごとに「選挙人」が割り当てられます。この選挙人の人数は、その州の下院議員の議席数に「2人」を加えたものとなります。
州ごとの下院議員の議席数は、下院議員の総数435を各州の人口比率に応じて配分されています。一方で、先ほどの「2人」というのは各州に割り当てられている上院の議席数にあたります。
さらに、どの州にも属さないコロンビア特別区(DC)に選挙人数3が割り当てられます。これで、選挙人の数は合計で538となります。
下院議員数(435人)+上院議員数(各州(2人×50州=100人)+コロンビア特別区3人=538人
ほかに、アメリカには、5つの準州があります。準州とは、グアム、サイパン(北マリアナ諸島)、プエルトリコ、サモア、ヴァージン諸島ですが、これらの準州には、大統領選挙の選挙権がありません。
これら50州とコロンビア特別区の選挙人の過半数を取る、つまり270人以上を取った候補が当選することになります。
そして、この選挙人の数の反映方法が州により異なります。その多くが、勝者総取り方式、一部だけ得票率に比例した方式となります。
次に、勝者総取り方式と得票率に比例した方式を説明します。多くの州では、勝者総取り方式を採用しており、多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得します。つまり、1票でも多く得票した候補者の総取りとなってしまい、たとえ激戦であっても、それは選挙人の獲得数には反映されないのです。他方で、メイン州とネブラスカ州の2州のみ、得票率に比例した方式を取り、得票率で選挙人を配分します。
投票するのは誰か?投票権は?アメリカでは、選挙権があるのは、国籍のある18歳以上の国民です。ただし、投票するためには、登録が必要です。日本のように自動的に投票権が付与されるものではないのです。アメリカでは、大統領選挙に投票するためには、居住地の選挙管理委員会に申請して、選挙人名簿に自分の名前を載せてもらう必要があります。
そして、選挙権のある彼ら彼女らによる投票の結果に応じて、先ほどの選挙人が割り当てられます。
このようにして、州ごとに決まった選挙人の獲得数を合計した総数により、大統領が決まると言うわけです。
◆スイングステート
「スイングステート」というフレーズを聞いたことがある方が多くいらっしゃると思います。これも大統領選挙のキーワードです。
多くの州は、支持する政党が歴史的に決まっています。そのため、選挙をするまでもなく選挙結果は決まっている、いわば出来レースなのです。支持する政党が決まってない州、大統領選挙の度に支持する政党が異なる州を「スイングステート(swing state/揺れる州)と言います。スイングステートでは激戦となります。よって、各候補はこのスイングステートでの選挙戦に力を入れるのです。
◆就任はいつから
大統領選挙は11月3日ですが、その後就任までには2ヶ月ほどあります。就任日(日時)は、憲法で決められており、2021年1月20日正午です。新人が当選した場合は、この2ヶ月間で組閣などを行ないます。
いかがでしょうか?アメリカ大統領選挙の仕組みをご理解いただけましたでしょうか?
あと1ヶ月弱、大統領選挙のニュースからは目が離せません。
今日も何事にも適温でまいりましょう。
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2020年11月3日の米大統領選挙でヒートアップするトランプとバイデンの政策対比を行った1冊です。トランプの4年間の総括を行うのは勿論のこと、特に日本人にはイメージしにくいバイデンの過去や政策に焦点を当てました。
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