フッデダッハ、okeydon(おけいどん)です。フッデダッハは、オランダ語で「こんにちは」です。
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(ASML決算資料より引用。以下同様。)
僕okeydonは、17カ国と地域に投資しています。今日は、「世界の相場から」シリーズとして、オランダ企業をご紹介します。
この記事では、オランダ ASMLホールディングの銘柄分析を記述します。
- ◆経緯
- ◆ASMLホールディングとは
- ◆概略
- ◆世界唯一の最先端技術
- ◆環境対策
- ◆国別売上高およびシェア、台湾セミコンダクターとの関係
- ◆米と中の両面展開
- ◆最新の決算状況(2021年1〜3月期)
- ◆新型コロナの影響
- ◆株価推移
- ◆業績(売上高および当期純利益など)
- ◆キャッシュフロー
- ◆株主還元策(1株利益、配当金、増配率、自社株買い)
- ◆株主還元方針
- ◆配当利回り、海外課税
- ◆各種指標
- ◆リスク
- ◆まとめ
◆経緯
僕okeydonは、 ASMLには、2019年3月に投資しました。当初は2018年1月に同社への投資を検討した経緯があるのですが、当時は配当利回りが1%未満であったこと、ほかに優先すべき投資先があったことが理由で投資を見送りました。ところが、50%もの増配により利回りが1.26%になったことやこの先も増配していくとが確認できましたので、配当投資家として触手を伸ばしたという訳です。
その後、株価があれよあれよと成長した結果、配当利回りは再び1%を切りました。しかしながら、株主還元に熱心な企業で連続増配していることから、その後も追加投資してきました。
◆ASMLホールディングとは
社名:ASML Holding
本社:オランダ
設立:1984年
従業員数人:28,073人
資本金:38,200千ユーロ(1ユーロ=133.32円で換算すると、日本円で、およそ51億円です。)
上場市場:ユーロネクストおよびナスダック(ティッカーコード:ASML)
時価総額:2623.96億ドル
※2021年5月17日現在
◆概略
ASMLホールディングは、半導体製造装置メーカーです。半導体メーカーではなく、半導体を製造する装置を作る企業です。世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客と言われています。
半導体製造装置メーカーの売上(2020年)ランキングは、1位がアメリカのアプライドマテリアルズで163.65億ドル、2位がASMLホールディングで153.96億ドル、3位はアメリカのラムリサーチで119.29億ドルです。今後はインテルが7ナノ半導体の製造で ASMLの極端紫外線露光装置 (EUV)を導入するとされています。従来からTSMCやサムソンにも納入されています。極端紫外線露光装置は1台200億円規模であることも鑑みますと、ASMLホールディングは世界の売上トップを狙えるところまできました。
ASMLホールディングは、極端紫外線露光装置を供給する唯一の企業です。極端紫外線露光装置の開発には莫大な開発投資が必要なことから、同業他社は撤退しました。つまり、他社の追随を許さない最先端の技術を持っている唯一無二の企業なのです。
この極端紫外線露光装置とは、簡単に言うと、極めて細かな回路の半導体を作る装置です。非常に高価な装置ですが、量産体制が整おうとしています。これにより、同社の業績が拡大していくことが期待されます。
また、時代の流れとして、5G、AI、自動運転など、半導体の需要は拡大していきますので、ASMLホールディングも継続的な成長が期待できます。
◆世界唯一の最先端技術
露光装置は、シリコンウエハー上に半導体の回路パターンを転写する工程で使われます。半導体は回路線幅が狭いほど演算速度が速くなり、省電力性能が上がります。半導体製造のトップランナーである台湾セミコンダクターは線幅5ナノおよび7ナノ(ナノは10億分の1)メートル製品の量産を本格化させ、さらに3ナノへと進化させテスト生産を行なっています。このためには、波長が極めて短いASMLの極端紫外線露光装置が必須であり、逆に言えばASMLの極端紫外線露光装置なくしては転写できない技術水準です。世界で極端紫外線露光装置を実用化できたのはASMLだけなのです。
◆環境対策
環境への取り組みもしています。温室効果ガス排出量を2025年には0を目標に置いています。これは、当社の事業からの直接的なCO2排出量0(scope1)のみならず、事業全体でのエネルギー使用による間接排出量も0(scope2)としています。
さらには、当社の製品の製造および使用によるバリューチェーン内の他のすべての間接排出も軽減する(scope3)としています。
ESGを意識した経営は評価できます。
◆国別売上高およびシェア、台湾セミコンダクターとの関係
[単位:百万ユーロ、(シェア)%]
1位 台湾 4731.3 / 33.8%
2位 韓国 4151.6 / 29.7%
3位 中国 2324.4 / 16.6%
4位 米国 1657.0 / 11.9%
5位 日本 542.8 / 3.9%
その他諸国 571.4
合計 13,978.5
国別売上高は、台湾、韓国、中国、日本が上位であることからアジアが突出しています。
2019年は、台湾のTSMCへの売上シェアが高く、1社依存がリスク視されてもいましたが、改善できています。
◆米と中の両面展開
中国最大手の半導体製造企業の中芯国際集成電路製造は、ASML製の装置の購入を望んでいるとされますが、中国と覇権争いをしている米国の意向を受け、オランダ政府が許可しない状況が続いています。
最新型の極端紫外線露光装置は、台湾や韓国など親米国に輸出しています。
半導体の自給率を上げたい中国は、ASMLの装置を手にしたいところですが、最新の極端紫外線露光装置は輸出してもらえていません。しかしながら、従来型の半導体製造装置は米国の規制対象外ということで、中国に輸出しています。2020年の国別売上高のうち、対中国は約17%の3位となっています。
◆最新の決算状況(2021年1〜3月期)
2021年12月期1Qは、78.8%増収、営業利益3.7倍と好調でした。極端紫外線露光装置受注高は前4Q比2.1倍とこれも好調です。
2021年12月期売上高の会社予想は、前年比約30%増とし、また、2022年12月期も好調が予想されています。
2021年通期の成長予想を2倍超に引き上げています。世界で独占している極端紫外線露光装置に関しては、2021年通期の売上高は前年比30%増を見込んでいます。
さらに、22年へ向けて生産能力を増強するとも述べています。
◆新型コロナの影響
特に影響を受けない決算となっています。新型コロナにしっかりと対応出来ている印象です。
◆株価推移
【2010年以降の長期チャート】[単位:米ドル]
(チャート引用:いずれもASMLホールディング ホームページより)
【5年チャート】
【1年チャート】
2010年からの長期で見ると、底値が24.73ドル、高値が672.81ドルと株価は27.2倍に成長しています。2018年終盤に半導体需要が衰えたことで、2020年春にコロナショックで、それぞれ株価を下げましたが、その後しっかり回復しました。直近は、米国長期金利の上昇の影響が株価に出ています。
株価:632.19ドル(2021年5月18日現在)
僕okeydonは、2019年3月26日に1株188ドルにて投資しました。その後も追加投資しています。
◆業績(売上高および当期純利益など)
決算期 売上高 当期純利益 純利益率 [単位:百万ユーロ]
2013.12 / 5,245 / 1,016 / 19.4%
2014.12 / 5,856 / 1,197 / 20.4%
2015.12 / 6,287 / 1,387 / 22.1%
2016.12 / 6,795 / 1,472 / 21.7%
2017.12 / 9,053 / 2,119 / 23.4%
2018.12 / 10,944 / 2,592 / 23.7%
2019.12 / 11,820 / 2,592 / 21.9%
2020.12/ 13,979 / 3,554 / 25.4%
売上高、当期純利益ともに右肩上がりです。綺麗に成長しています。純利益率は20%以上と高利益率です。これは営業利益率ではなく、純利益率です。素晴らしい数字です。
◆キャッシュフロー
決算期 営業CF 投資CF フリーCF[単位:百万ユーロ]
2016.12 / 1,666 / -3,188 / 1,341
2017.12 / 1,799 / -1,209 / 1,441
2018.12 / 3,073 / -492 / 2,463
2019.12 / 3,276 / -1,158 / 2,391
2020.12 / 4,628 / -1,352 / 3,627
◆株主還元策(1株利益、配当金、増配率、自社株買い)
決算期 1株利益 配当金 増配率[単位:ユーロ]
2004.12 / 0.49 / 0.00 / ---
2005.12 / 0.64 / 0.00 / ---
2006.12/ 1.32 / 0.00 / ---
2007.12/ 1.45 / 0.25 / ---
2008.12 / 0.75 / 0.20 / -20.0%
2009.12 / -0.35 / 0.20 / 0.00%
2010.12 / 2.35 / 0.40 / 100.0%
2011.12 / 3.45 / 0.46 / 15.0%
2012.12 / 2.70 / 0.53 / 15.2%
2013.12 / 2.36 / 0.61 / 15.1%
2014.12 / 2.74 / 0.70 / 14.8%
2015.12 / 3.22 / 1.05 / 50.0%
2016.12 / 3.66 / 1.20 / 14.3%
2017.12 / 4.81 / 1.40 / 16.7%
2018.12 / 6.10 / 2.10 / 50.0%
2019.12 / 6.16 / 2.40 / 14.3%
2020.12 / 8.49 / 2.75 / 15.0%
配当金は、2007年12月期に0.25ユーロ出したのが始まりで、13年後の2020年12月期には2.75ユーロと11倍になりました。リーマンショックの2008年に減配した以外は、増配傾向にあります。それが2015年12月期および2018年12月期に顕著に出ており、実に50%増配です。配当性向は、2019年12月期で39%、2020年12月期で32.4%とまだ余裕がありますし、増配しながらも配当性向が下がっているということは、それだけ利益成長しているということです。
さらには、自社株買いも増加傾向にあります。自社株買いは、実に配当金の2倍以上も実施しています。
◆株主還元方針
半年ごとに支払われる配当金は、年の経過とともに増配を目指しています。
自社株買いも行なわれます。2020年1月22日、2020〜2022年に渡る3年間の自社株買いプログラムを発表しました。最大60億ユーロの株式を購入する予定です。そして、買戻した株式は消却される予定です。
この自社株買いは、新型コロナウィルスを要因として、2020年の第1四半期に一時的に停止されていましたが、2020年の第4四半期に再開されています。
このように、自社株買いまたは配当金を通じて定期的に株主還元が行なわれる予定です。
また、2020年決算レポートに、2025年までの見通しとして、「年間配当の増加と自社株買いの組み合わせを通じて、株主還元をし続けることを期待している」とも記述しています。
◆各種指標
実績ROE 26.86%
予想ROE 36.01%
予想PER 44.81倍
実績PBR 16.02倍
自己資本比率 50.8%
※実績は2020年12月期決算
※予想は2021年5月17日現在
◆リスク
セクターローテーションが起こりつつあるなか、予想PERが44.81倍と、株価が高くなっていることがリスクでしょう。とはいえ、米国成長株というのは常に株価が高めであることも、これまた事実です。
◆まとめ
現在の配当利回りは0.52%ですが、この先も業績が成長するうえに配当性向には余裕があるため、buy & holdすることで、増配が継続されて高配当に化ける可能性が高いです。また、自社株買いも行なっていることから、しっかりとした株主還元を期待できます。2011年以降、毎年概ね15%以上の増配を継続しています。
半導体需要はこの先 衰えることはなく、また他社の追随を許さない技術を持っていることなど、多方向からASMLホールディングは評価できると思います。インカム、キャピタル共に期待できる投資先であると判断して、長期保有します。追加投資もしています。
なお、上場はユーロネクストとナスダック(ADR)の両方にしていますが、僕okeydonはナスダックでADR株に投資しました。海外投資は、投資効率を上げるために、出来るだけ通貨をドルに揃えています。
投資判断は自己責任にてお願い致します。記事に記載の各種データには誤りがある可能性がありますから、投資の折には、皆様におかれましても公式サイト等で再度確認頂きますようお願い致します。
今日も何事にも適温でまいりましょう。
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