こんにちは、okeydon(桶井 道/おけいどん)です。Follow @okeydon
近年、日本のレアアース関連株が注目を集めています。
その背景にあるのは、単なる市況の変化ではありません。日本がレアアースを国家戦略物資として位置づけ、調達・備蓄・自前化に本格的に動いていることが、株価を押し上げる大きな要因になっています。
日本は過去、中国への依存度の高さからレアアース供給リスクを痛感してきました。
その反省を踏まえ、政府主導で調達先の分散、備蓄の積み増し、産業主導で省レアアース化、別材料への置き換え、リサイクル・再利用を行ってきました。政府は、さらには国内での採掘や精製技術の確立に動いています。南鳥島の深海での採掘は報道で見られた方も多いと思います。

こうした取り組みはJOGMECなどを軸に進められており、日本がレアアース確保を「国家戦略として継続的に進めている」ことを、市場に強く印象づけています。
この結果、関連企業の株価には将来期待が一気に織り込まれています。しかし、注意すべきなのは、その多くが業績やEPSの急成長を伴っていないという点です。
現実には、採掘や精製は時間もコストもかかり、すぐに利益が跳ね上がるビジネスではありません。それにもかかわらず、株価が上昇しているのは、期待先行でPERだけが切り上がっている状態だと言えます。
先日の記事で解説したとおり、
株価=EPS×PER
で決まります。
今回のレアアース関連株の動きは、EPSが動いた結果ではなく、「国家戦略に組み込まれた」というストーリーによってPERが拡大したケースです。
これは短期的には株価を押し上げますが、PER主導の上昇は非常に不安定でもあります。
仮に政策の進展が想定より遅れたり、コスト負担が重くなったりすれば、市場の期待は簡単に後退します。そのとき、EPSが伴っていなければ、株価は急速に調整されます。これはテーマ株に共通する典型的な動きです。
日本のレアアース戦略そのものは重要で、長期的な意義も大きいでしょう。国民として成功してほしいと願っています。投資家としても期待します。
ただし、投資判断では、「国家として重要」や「国民として応援したい」と「企業の利益が伸びる」は別物だと切り分ける必要があります。
いま起きている株価上昇がEPSによるものか、PERによるものか。この視点を持たないまま飛びつくと、期待が剥落した局面で大きなリスクを抱えることになります。
今日も何事にも適温でまいりましょう。