おけいどんの適温生活と投資日記(FIRE生活、世界30ヵ国の増配株、ETF、リート投資)

アーリーリタイア ブロガー 桶井 道/おけいどんがFIRE生活と投資、介護(父は要介護5、母はがんサバイバー)について綴ります。投資歴25年、日米など30ヵ国の増配株、ETF、リート。【メディア掲載/コラム連載】多数、プロフィールに記載。【著書】 3冊(FIRE本、米国ETF投資本、新NISA活用本、Amazonにて桶井 道で検索して下さい)【仕事依頼について】問い合わせフォーム(「カテゴリー検索」から探せます)からお願いします

●イスラエルのNICE(ADR株)に新規投資、コンタクトセンターおよび金融犯罪防止の事業者

こんにちは、okeydon(おけいどん)です。


この度、無配成長株、イスラエルのNICE/ナイス(ADR株)に新規投資しました。

これで、投資先国と地域は15になりました。また世界地図にひとつ色を塗ることが出来ました。



NICE社は、コンタクトセンター、金融犯罪防止システム、航空管制で世界のマーケットリーダーです。イスラエルで最も大きいテクノロジー企業の1つです。

この記事では、イスラエルNICE社の銘柄分析について綴ります。日米以外の国の銘柄を紹介する「世界の相場から」シリーズになります。



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NICE社を詳しく説明する前に、イスラエルという国家について触れておきましょう。

◆◆イスラエルとは

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首都:エルサレム(ただし、国連は認めておらず、首都はテルアビブとしています。)

面積:22,072㎢(日本の四国と同程度)

人口:888万人(2018年/大阪府と同程度)

宗教:ユダヤ教75%、イスラム教18%、キリスト教2%など

言語:ヘブライ語アラビア語

政治:共和制

日本との時差:マイナス7時間(サマータイム時はマイナス6時間)

名目GDP:3706億米ドル(2018年)

一人当たり名目GDP:41,728米ドル(2018年/世界23位/日本は39,303米ドルで26位)

概略:イスラエルは世界有数の技術大国で、中東のシリコンバレーと呼ばれます。人口888万人という小国ながら約6000ものスタートアップ企業が存在します。そして、米国から、インテル、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなど多くのハイテク企業がイスラエルに研究開発拠点を置いています。

イスラエルは、国内ではパレスチナ問題があり、近隣諸国とは建国直後から何度か戦争になった経緯から敵対関係にあり、常に緊張感が高まった状態にあります。そのため、軍事技術、IT技術、通信技術などを高めていく必要があり、それが最先端技術の発展のエンジンとなっています。ほかに、航空宇宙、エレクトロニクス、バイオテクノロジーも世界トップレベルです。その根幹を支える人材は、テルアビブ大学やヘブライ大学など高い教育レベルにより育てられています。企業家精神に富んでおり、失敗に対して寛容的でもあり、新興企業が次々に生まれる土壌があります。

経済は比較的安定的な成長をしています。リーマンショック時すら、各国がマイナス成長となるなか、イスラエルは実質GDP成長率は+1.0%とプラスを記録しています。

【実質GDP成長率】
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(世界経済のネタ帳より引用)


人口は増加しており、2000年以降、年率1.8〜2.6%のレンジで増加しています。

イスラエルは、先進国の一面と新興国の一面を持ちます。その点では中国と似ていると言えます。一人当たり名目GDPを見ると、日本より高いことから、先進国で良いと思いますし、実際に株式投資の世界では先進国と扱われています。ただし、債券市場においては、新興国扱いとなっています。

イスラエルには、株式取引所としてはテルアビブ証券取引所があります。イスラエル企業はテルアビブ証券取引所に上場する以外に、米国のNASDAQにも多くが上場しており、その数は中国企業に次いで2位となっています。

このように、最先端技術が育っていることが窺えます。




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それでは、NICE社について入っていきましょう。

◆◆NICEとは

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(NICE社ホームページより引用。以下同様。)

◆基本データ

社名:NICE Ltd.
日本語表記:ナイス

本社:イスラエル

設立:1986年

上場市場:テルアビブ証券取引所NASDAQ(ADR株)

上場年:1996年1月

証券コード:NICE(NASDAQ)

時価総額:136.02億米ドル
※2020年8月9日現在
この時価総額は、アメリカに上場している企業のなかで694位です。参考までに、686位が日本のTDK、696位が楽天、740位が米国のスラック・テクノロジーズです。

決算月:12月


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概略:NICE社は1986年にイスラエルで設立されました。イスラエルでは最大のIT企業のうちの1つです。事業ポートフォリオは、カスタマーエンゲイジメントと金融犯罪防止の2本柱からなります。

カスタマーエンゲイジメントは、コンタクトセンター、バックオフィスの事務作業の自動化(RPA)、航空管制です。金融犯罪防止は、金融機関のマネーロンダリングなどを防止するシステムです。


なかでも、コンタクトセンター業務のソリューションを中心に発展してきました。世界中にオフィスを構え150以上の国で多くの顧客を持ちます。2004年には東京に日本法人が設立されました。

2009年からRPAに参入しました。「RPA」とは『Robotic Process Automation』の略です。企業の事務作業を自動化する「ソフトウェアロボット」のこと。繰り返し行なわれる、作業内容が似たような定型業務を自動化するツールです。

NICEは、コンタクトセンター業務の1つアフターコールワーク(ACW)の自動化に向けRPAを発展させてきました。アフターコールワークとは、オペレーターが顧客の電話対応終了後にする事務作業のことで、具体的には、顧客からの依頼内容のデータ入力、書類記入などです。NICEは、アフターコールワークをRPAにより自動化します。顧客企業の様々な業務を自動化しており、契約企業数は400社以上にもなります。

コンタクトセンターのハイテク化と事務の自動化を融合させて、効率化に成功しています。


◆伸びるRPA 市場

マッキンゼー・アンド・カンパニー(大手経営コンサルタント)によると、2025年までに世界でホワイトカラー労働者の仕事の3分の1が、RPA (ソフトウェアロボットによる事務作業の自動化)に置き換わることが予測されています。そうなると、世界の市場規模は6.5兆ドル(日本円で約690兆円)にも上ります。

今後の展望としては、RPAの先行導入企業の成果が知られるようになり注目されると、より多くの企業がRPAの導入を進めるようになると予想されます。


◆NICEのコンタクトセンター事業

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NICEは、コンタクトセンターの労働力最適化(WFO)市場の世界シェアが40%です。オンプレミス型(顧客企業が自社で専用設備を導入する形態)とクラウド型の両方に対応しています。コロナ禍の現状では、コンタクトセンターの在宅化の需要に対応しています。

この先、WFO市場の変革は、RPAおよびAIにより熱くなることが予想されます。


NICEが提供するRPAは「NICE Advanced Process Automation(NICE APA)」という、次の3つシステムから成ります。バックオフィスのRPA(ソフトウェアロボットによる事務作業の自動化)のみならず、コンタクトセンターのアフターコールワーク(オペレーターが顧客の電話対応終了後にする事務作業)の自動化を可能とします。

①Desktop Automation
半自動ロボットシステムです。これは人間が行なう全ての業務をRPAが代行するのではなく、人間が主でRPAが従となり、人間が行なう業務をアシストします。

次のような機能があります。
・従来システムなら複数の画面になるものを1つの画面に表示
・1つのアプリケーションへの入力により、即座に他のアプリケーションにもリンクされて自動反映
・注意事項や操作ヘルプを、呼び出さなくとも自動的に画面上に表示

これら機能により、業務の効率化、ミス軽減が可能になります。

②Robotic Automation
全自動ロボットシステムです。バックオフィスでの定型的な業務を自動化するためのシステムで、ロボットが完全に独立して業務を行うため、人間はクリエイティブな業務に専念できます。また、間接部門の少人数化が可能となります。

③Desktop Analytics
業務プロセスを可視化するツールになります。人間が使うPC(デスクトップ)のアプリケーションの稼働状況を可視化、分析、レポートし、その結果 従業員ごとの業務改善が可能になります。

また、業務の処理内容を可視化、分析、レポートし、その結果 無駄を省くことができ、業務を効率化できます。


これら3つにより、業務処理を正確化、短縮化することができて、生産性を高めることが可能となります。


◆世界初のバーチャルアテンダント「NEVA」

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コンタクトセンターやバックオフィスで働くスタッフを支援するために、世界初のバーチァルアテンダント「NEVA」が開発されました。NEVAは、NICE Employee Virtual Attendantの略称で、それが愛称にもなっています。

NEVAは、スタッフが顧客と通話中でも、手間のかかる作業中でも、お手伝いしてくれます。NEVAは、PC作業、会話やチャットを見聞きすることで、スタッフがやりたいことを理解して支援してくれます。NEVAは、企業のシステム、ポリシー、業務プロセスなどをすべてを網羅しており、必要なアプリケーションを選択して、業務を片付けてくれます。

例えば、ある企業がコンタクトセンターにNEVAを導入したとしましょう。コンタクトセンターに顧客から電話が入り、オペレーターが電話に出ると、顧客からいろんな質問が飛んで来ます。NEVAは顧客の声を音声認識して、顧客の質問を理解し、その答えをオペレーターが見るPC画面に表示してくれます。オペレーターはマニュアルやパンフレットを探す必要がなく、すべてNEVAが先回りして、次々と必要な情報を準備してくれるというわけです。NEVAの導入により、成約率が上がることが期待でき、一件一件の対応時間を減らすことも可能となります。さらには、アフターコールワーク、つまり顧客の電話対応が終わったあとの入力作業などはNEVAが自動でしてくれます。よって、オペレーターはアフターコールワークを必要とせず、次の顧客からの電話対応に移ることが出来るのです。

こうして、労働生産性が向上します。また、オペレーターは顧客への感じの良い対応に意識を集中することができます。


NEVAは、先述の「NICE Advanced Process Automation(NICE APA)」の3つのシステムを動かしてくれます。


NEVAについて詳細は、こちらの動画が分かりやすいです。どれだけ進んだ技術か、きっと驚かれます。


◆NICEの在宅コンタクトセンター・ソリューション

次に、NICEの在宅コンタクトセンター・ソリューションを紹介しておきましょう。これにより、在宅勤務となるオペレーターの勤怠管理、顧客との会話の品質管理などを行なうことができ、在宅コンタクトセンターの業務を支援します。具体的な機能は、在宅録音、画面録音、デスクトップ分析、顧客応対の品質管理等です。

宅録音は、顧客と在宅オペレーターの通話を録音します。画面録音は、オペレーターの画面操作を録画することによって、通話中に業務外のPC利用がないか、正しく操作されているかを管理します。デスクトップ分析は、オペレーターのPC操作ログの取得や、アプリケーションの使用状況を分析します。顧客応対の品質管理は、録音した通話データから、NGワードなどの検出、感情検知、保留時間および回数の算出などを行ないます。

在宅コンタクトセンター・ソリューションを導入することによって、在宅オペレーターの勤務状況をリモートで管理することができます。オペレーターの電話応対、PC操作などを可視化することで、オペレーターのトレーニングを個々にカスタマイズして実施することができ、オペレーターの技術向上および顧客サービスの向上に繋がります。また、コンタクトセンターの在宅化により、育児や介護など在宅で仕事がしたい人の採用が可能になりますし、コロナ禍でオペレーターが出社することなく在宅ワークすることも可能になります。


◆コンタクトセンターのハイテク機能の具体例

ここで、より想像しやすくするために、具体例を2つあげましょう。

①音声認証による本人確認
音声認証による、リアルタイム自動認証があります。コンタクトセンターでは、顧客の本人確認を必要とします。従来のシステムでは、オペレーターから顧客に、フルネーム、会員番号、住所、生年月日など個人情報を聞くことで本人確認をしていました。これでは、時間を要すばかりか、オペレーターにも顧客にも心理的負担となり、さらには「なりすましリスク」もあります。NICEのシステムでは、音声認証つまり顧客の声を判別することで本人確認を可能とします。オペレーターが顧客からの電話に出て、挨拶を交わし、要件を聞き出している初期段階で、システムがリアルタイムに本人確認を行なうのです。従いまして、従来のシステムで要した本人確認の時間が削減され、1件あたりの処理時間を短縮できます。また、なりすましを防ぐこともできます。

②膨大な情報を蓄積し、即座に検索可能
顧客との過去の全てのやりとり(電話記録に加えて、スキャンされた文章、メールと全ての膨大な情報)を一元管理します。そして、顧客から電話が入ったときに、オペレーターは即時にそれらデータの閲覧が可能です。オペレーターは過去の記録を見ながら、どう対応すべきか、何を提供すべきか、一瞬で分かるため、成約率が向上します。さらには、その顧客に伝えるべき免責事項なども喚起するため、将来起こる可能性のあるトラブルを回避できます。


◆バックオフィスのRPA導入例

コンタクトセンター以外の例として、バックオフィスのRPA導入例もひとつあげておきましょう。2019年1月に日本の総務省がNICEのRPAを導入しています。RPAをおさらいしておきますと、ソフトウェアロボットにより事務を自動化・半自動化するシステムのことです。これにより、膨大な入力作業やルーティンワークは自動化できました。また、人間の判断が必要な業務については、人間の指示に基づきロボットが作業を行なう半自動化に成功しています。こうして、業務を効率化しました。


◆航空管制(ATC)事業

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次に、航空管制事業について説明します。NICEのソリューションは、世界で最も忙しい30の空港を含む1,300以上の航空管制(ATC)センターで導入され、実証済みです。航空機、ATC運用、地上要員間のあらゆる種類の音声通信を確実に記録します。

NICEインフォームインシデント情報管理ソリューションは、無数のATCシステムと連携して、音声、レーダー、CCTVビデオ、その他のデータを取り込んで融合し、インシデントの同期ビューと360度の可視性を実現します。隠された事実をより早く発見し、調査またはトレーニングを改善します。

NICEは、ATCが直面する固有のニーズと課題に対応するため、NICE InformTMインシデント情報管理ソリューションを開発しました。 NICE Informは、既存のNICEデジタル音声およびビデオ録音システムと完全に統合し、調査またはトレーニングで、あらゆるインシデントを確認するための迅速かつ徹底した調査を可能にします。NICE Informは、空港、航空会社間および航空協会内のインシデント情報の共有を促進し、航空交通調査を劇的に加速することができます。

NICEには、ATC市場での長い歴史と実績があります。


◆金融犯罪防止事業

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銀行など金融機関を顧客として、マネーロンダリング対策、リスク管理、不正検出および防止といったソリューションを提供しています。

アメリカでは上位10銀行全てが、EUではトップ10のうち9銀行が、日本では、三菱UFJ、みずほフィナンシャル、ゆうちょ銀行などが顧客です。世界シェアの40%を持ちます。

金融犯罪防止ソリューションは、NICE Actimizeと言い、元は1998年にイスラエルベンチャー企業が始めました。数年後にニューヨークに本拠地を移し、ウォール街の金融機関を主な顧客として、金融犯罪検知にサービスに特化しました。2001年に発生した9.11同時多発テロ以降は、テロリストの資金移動の検知なども行なうようになりました。現在は、世界各国の銀行をはじめとする金融機関を顧客として、実際に発生した金融犯罪の検知にとどまらず、今後発生する可能性がある金融犯罪の予知を行なうソリューションとしても利用されています。大きな特長は、予知機能により犯罪を未然に防げることと言えるでしょう。

これにより、調査時間が70%短縮されます。

すでに大手金融機関の多くを顧客としており、さらに顧客を増やすことは難しくとも、金融機関における犯罪防止やコンプライアンス強化は世界的な流れであり、事業は拡大するでしょう。


◆企業買収

近年、複数の企業を買収しました。全てコンタクトセンター事業を行なう企業です。

2016年にインコンタクト社を買収しました。クラウド型のコンタクトセンターのインフラ企業です。

2016年にネクシディア社を買収しました。会話分析ソリューションの企業です。

自社製品に、インコンタクト社のクラウド型コンタクトセンターインフラ、ネクシディア社の分析機能を取り込み、新たなソフトウェアを完成させました。両社の技術とNICE社の技術の融合により競争力を高めることが出来ました。


さらに、2019年にブランド・エンバシー社を買収しました。カスタマーサービスのプラットフォームを提供するリーディングカンパニーです。コンタクトセンターの顧客対応がチャットにシフトするなか、この買収は、NICE社の製品とうまく融合することが期待できます。

これら一連の買収により、コンタクトセンター事業の競争力は高まっていくでしょう。成長の道筋は立っています。


◆コンタクトセンター事業の今後の展開

NICEのソリューションには、データマイニング(統計学パターン認識、AI等のデータ解析の技法を大量のデータに網羅的に適用することで知識を取り出す技術)を備えており、付加価値が高く、他社に対して高い競争力を有します。

オンプレミス型(顧客企業が自社で専用設備を導入する形態)とクラウド型の両方を提供しています。現在はクラウド型へのシフトが進んでいます。

顧客企業は、クラウド型により、繁忙もしくは閑散に対応して、コンタクトセンターの業務規模を簡単に大きくしたり、小さくしたりすることができます。NICEとしては、今後 クラウド型の売上が上がることで、利益率の向上が期待できます。


◆健全な財務

長期借入金は、2016年以降の企業買収によるものです。その額は、当期純利益キャッシュフローおよび利益剰余金に比べると健全な範囲です。2019年決算期には長期借入金を一気に半分以下に減らしています。

決算期 長期借入金/利益剰余金[単位:千米ドル]
2016 444,000 / 711,000
2017 448,000 / 851,000
2018 456,000 / 1,072,000
2019 213,000 / 1,258,000

キャッシュフローは後述。


◆事業別売上

2018年度および2019年度決算では、カスタマーエンゲイジメントが80%、金融犯罪防止が20%となっています。

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最新の2020年第2四半期決算では、カスタマーエンゲイジメントが82%、金融犯罪防止が18%となっています。カスタマーエンゲイジメントが伸びているのは、後述するコロナ禍を要因とするコンタクトセンターの在宅化の需要に対応したことによると思われます。

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◆ビジネスモデル別売上

ビジネスモデル別売上では、2018年に比べて2019年はクラウド型が6ポイント増加しています。

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◆地域別売上

2018年度および2019年度決算では、アメリカ78%、ヨーロッパ中東アフリカ14%、アジア太平洋8%となっています。

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最新の2020年第2四半期決算では、アメリカ80.4%、ヨーロッパ中東アフリカ11.3%、アジア太平洋8.3%となっています。

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イスラエルでの内需は限定的で1%未満、売上のほとんどがアメリカになっています。


◆好調な直近の決算、コロナのピンチをチャンスに

2020年第1四半期(1〜3月期)決算では、売上高は前年同期比9%増、営業利益は14%増、1株利益(EPS)は14%増と、コロナ禍の走り段階でも強さが見られました。

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2020年第2四半期(4〜6月期)決算では、売上高は前年同期比4%増、1株利益(EPS)は10%増と、コロナ禍の真っ只中にもかかわらず好成績でした。

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コンタクトセンターの在宅化ニーズに応えたことで、いえニーズを先読みしたともいえる迅速な対応により、コロナのピンチをチャンスに変えたと言えます。


◆リスク

リスクは次の2つが考えられます。

①カントリーリスク
国内および近隣諸国との間にあるイスラエル特有のカントリーリスクがあります。ただし、世界各国に拠点を構えて、売上の約80%はアメリカで稼いでおり、イスラエル内需は1%未満に過ぎません。

クラウド比率上昇も利益率向上ならず
一般的に、クラウド比率の上昇により利益率は向上するものですが、NICEにおいてはそれがまだ見られません。クラウドの売上比率が伸びるなか、比例してコストも上がっているからです。クラウドの利益率の改善が、今後の課題となります。ただし、直近の2020年第2四半期決算では、クラウドの利益率は向上が見られます。


【2019年決算 製品・サービス・クラウドの売上高とコスト】
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【2020年第2四半期決算 製品・サービス・クラウドの粗利益率】
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◆株価推移

年 始値[単位:米ドル]
2010 31.12
2011 35.21
2012 34.90
2013 34.35
2014 40.19
2015 50.27
2016 56.04
2017 69.03
2018 92.95
2019 106.78
2020 156.72
2020年8月7日 217.99(終値)


【10年チャート】
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【1年チャート】
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株価は、上場時1996年の5.06米ドルから2020年8月7日には217.99ドルまで、24年間で43倍に成長しました。チャートを見ると、右肩上がりで成長しています。この3年くらいで成長率が伸びています。今年はコロナショックで大きく下げたものの、その後 急回復して高値更新しています。


◆業績(GAAP基準)

決算年 売上高/営業利益/当期純利益)[単位:千米ドル]
2015 926,867 / 166,106 / 258,831
2016 1,015,542 / 134,176 / 116,920
2017 1,332,152 / 150,071 / 143,291
2018 1,444,519 / 197,616 / 159,338
2019 1,573,912 / 238,717 / 185,904
2020 1,651,416 / ? / 192,680
2021 1,799,999 / ? / 235,152
※2020年以降は、ロイター予想

売上高、営業利益、当期純利益ともに成長しています。2016年に当期純利益が低下したのは、企業買収に伴う費用発生によるものです。

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キャッシュフロー

決算年 営業CF/投資CF/フリーCF)[単位:千米ドル]
2016 220,344 / -800,018 / 184,564
2017 394,662 / -212,980 / 326,837
2018 396,609 / -460,763 / 332,942
2019 374,158 / -344,291 / 312,186


◆1株利益(GAAP基準)および配当金

決算年 1株利益/配当金[単位:米ドル]
2015 4.22 / 0.64
2016 1.92 / 0.64
2017 2.31 / 0
2018 2.52 / 0
2019 2.88 / 0

2013年から2016年までは各年ともに配当金を0.64米ドルずつ出していましたが、2018年以降は配当を止めて、資金を企業買収など成長に回しています。


◆予想配当利回り

配当なし


◆各種指標

実積ROE 8.69%
予想ROE 13.65%
予想PER 74.62倍
実績PBR 6.21倍
自己資本比率 62.69%
※実績(含む、自己資本比率)は2019年12月期決算時
※予想は2020年8月9日現在


◆まとめ

コンタクトセンター、航空管制、金融犯罪防止というニッチな市場のなかで高い市場シェアをもつ銘柄になります。ニッチ業界の雄と言えるでしょう。

事業ポートフォリオのなかで、売上シェアの多くを占めるコンタクトセンターについては、高い世界シェア×市場拡大+好財務+コロナへの順応=企業成長→株価成長というストーリーを描き投資しました。

また、コンタクトセンターについては、当面の成長環境は整いましたので、新たな企業買収を行わず、かつ長期負債の返済が進み、かつ1株利益が上昇すれば、復配にも期待が持てるのではないでしょうか。

僕okeydonは、2020年8月5日に新規投資しましたが額が僅かであり、今後の追加投資も視野に入れています。ただし、メインの投資先ではなく、ポートフォリオのスパイス的な存在だという認識です。


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投資判断は自己責任にてお願い致します。



今日も何事にも適温でまいりましょう。




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