こんにちは、okeydon(おけいどん)です。
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にわかに消費増税を延期する観測が出てきました。自民党の萩生田幹事長代行、安倍首相の側近による発言ですが、安倍首相や菅官房長官の代わりに発言したのではないかと思います。安倍首相や側近中の側近である菅官房長官がいきなりそんな発言はできません。逆に、一兵卒の議員が発言しても個人の考えと取られます。そこでちょうどいい塩梅となる萩生田幹事長代行が発言することで、世論の反応を見ているということだと思います。これはきっと露払いですね。
投資家としては消費増税の延期には賛成です。米中貿易摩擦を発端として世界経済に減速のサインが出ているなかで、消費増税をすると日本の景気悪化を確かなものにするリスクが高いです。
消費増税はたったの2%、2%でそんなにも景気に影響するのかという疑問もあろうとは思います。しかしながら、たったの2%と言えども、8%から10%ということは、1.25倍の増税を意味します。10万円の消費に対して、現行は8千円の消費税が1万円になります。日本のGDPの約60%は個人消費ですから、こうして考えると影響は大きいですね。
そして、そもそも、景気減速に対して、日本が取れる政策には限りがあります。
ここで、アメリカに目を向けてみましょう。アメリカは2015年から2018年まで0.25%ずつ利上げしてきましたので金利(FFレート)は2.5%もあります。よって、景気が減速するなら利下げして対応することが可能です。これが出来る先進国はアメリカだけ。
日本に話を戻すとどうでしょう。日本はマイナス金利であり、これ以上の緩和政策はなかなか取れません。マイナス金利の深掘りを進めると銀行へのダメージが大きく、特に地銀がもたなくなります。そして、マイナス金利の深掘りの効果に疑問も残ります。
消費増税は、「リーマン・ショック級のことが無いかぎり」予定通りということが言われ続けてきましたが、後退している景気指標を組み合わせるとリーマンショック『級』であるという分析結果を出すことは出来るでしょう。
そして、リーマンショック『級』の不景気が訪れたことを理由に消費増税の延期をするためには、国民の信を問うべく衆議院議員選挙が行われます。参議院議員選挙は予定通り夏にあります。国政選挙を別の面からも見てみたいと思います。安倍首相は現職中に憲法改正を発議したいはずです。4選があるなら話は別ですが、3選までならもう残された時間は多いとは言えません。2016年の増税延期で追い風が吹いた成功体験は安倍首相の脳裏にあると思います。そういう切り口から消費増税延期是非→参議院議員選挙および衆議院議員選挙→消費増税延期&憲法改正発議という流れはあり得るかと想像します。
そして、この衆議院議員選挙ですが、G20があることから、日程的に衆参同日選挙は難しいと萩生田幹事長代行が発言しています。となると、参議院議員選挙と衆議院議員選挙が続けて行われることになります。株式市場にはこれもプラスです。国政選挙は、公共投資並みの景気押し上げ効果が短期間に集中してあると言われています。それが2度もあるのですから。
もしくはウルトラCとして、通常国会の期日を延長することで、参議院議員選挙を後ろ倒しにすることはできます。国会中は参議院議員の任期を延長するとの法律(公職選挙法)があるのです。7月後半と言われる参議院議員選挙ですが、通常国会を延長することで、この法律を適用して、8月に衆参同日選挙に持ち込むのです。
公職選挙法の該当部分を抜粋
(通常選挙)
第三十二条 参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。
2 前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。
この先、政権は消費税増税の延期を、徐々に世論に馴染ませていくのではないでしょうか。ここ1年間で消費増税するとはっきりと明言して、軽減税率の導入や増税対策を打ち出し、予算も成立しました。消費増税を既定路線化してからの、増税延期となると、株式市場にはなかなかのサプライズですよね。